北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

福井鉄道・レトラムに乗って

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13時40分、レトラムは仁愛女子高校電停を出発した。

週末だけの運行に関わらず、

客は僕を含めて2人のみ。

もう一人はでかいカメラをもった年配の男性であったもので、

普通の客は1人もいないと思われた。

 

レトラムは元々はドイツのシュツットガルトを走っていた路面電車で、

高知の土佐電鉄を経て2014年に福井にやってきた。

ただ、運行開始直後はたびたび故障が起きていたようで、

ニュースでも何度か耳にした。

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1965年製造とのことであるから、

200形よりは若けれど、僕よりはかなり年上である。

冷暖房設備もないもので、

運行は春と秋のみとのこと。

 

この車両には女性の車掌が乗務していた。

彼女はピンと背筋を伸ばし、

赤十字前行き、レトラム号でございます。次は市役所前に停車します」

と滑舌の良い肉声で案内をした。

どうやらマイクなんてものはついていないようだ。

 

市役所前の手前で停止。

隣のホームには田原町行きが停まっていたのだが、

ヒゲ線から出てきたのではなく、

これからヒゲ線に入っていくようである。

 

田原町行きがヒゲ線に入っていってから

ようやくレトラムは市役所前のホームに着いた

すると女性車掌は扉横のボックスにキーを差し、

ボタンを押して扉を開くと

続いて手動でステップを下ろした。

 

大きなカメラをもった中年男性が降りていく。

ホームには何人か客がいたが、

赤十字前行き」との案内を受けて乗らない。

そんなもので車内は貸し切りとなった。

 

女性車掌は再び手作業でステップを上げ、

左右を指さし確認してから

ボタンを押して扉を閉めた。

書く分には簡単だが、なかなか大変な作業である。

 

盲腸線であるヒゲ線に一編成いる訳だから、

しばらくこのまま待機するのかと思っていたら、

信号にあわせてレトラムは動き出した。

そして単線になる手前で停車。

 

女性車掌が頭を下げ

「先行列車の待ち合わせです。しばらくお待ち下さい」

とやはり滑舌の良い口調で言った。

「お姉さん、僕のことは気にしないでください」

そんな気にもなったが、

彼女とて仕事であるから黙っておく。

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田原町行きがヒゲ線から出てきてようやく福井駅前へ。

福井駅前の電停には想像以上にお客さんが多く待っていた。

女性車掌はステップを下ろすと

赤十字前行きです、その先までお越しのお客さんは55分発をご利用ください」

と案内している。

結果、乗り込んできたのは3人である。

 

再び市役所前へと戻ると、

さきほど下車した男性が再び乗り込んできた。

福井駅前で乗ってきた3人のうち2人は公園前で下車。

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仁愛女子高校前からのメンバー+1人だけが再び車内に残り、

木田四ツ辻を経て終点、赤十字前に到着。

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終点であるから当然降りる。

すると、扉を閉めたレトラムは武生方面に向けて動き始めた。

そして踏切の先で停車して、

再び戻ってくると今度は側線に入った。

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そうしてるうちに今度は田原町行きの電車が到着。

続けて越前武生行きの「FUKURAM」がやってきた。

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田原町行き、越前武生行きの電車が出発すると、

側線に停まっていたレトラムが再び越前武生方面に動き始める。

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そして再び方向を変えて

赤十字駅のホームに入ってきた。

ホームにいるのは僕だけだ。

さっきFUKURAMが出て行ったから当然であろう。

 

女性車掌が手動でステップをおろし、

「急行・越前武生行きレトラム号でございます」

とたった一人の客に告げた。

僕がいなければ座って武生に帰れたかもしれないな、

そう考えると何だか申し訳なくなる。

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再びレトラムに乗ったのは理由がある。

それはまだ僕が福井鉄道の急行列車に乗ったことがなかったからだ。

3月27日からは日中の急行運転も復活するので、

珍しくも何ともなくなるだろうけど、

せっかくの機会なので味わってみたかった。

それも春と秋の週末にしか運転しないレトラムである。

 

「次はベル前に停車いたします」

女性車掌は一礼してから丁寧な口調でいった。

さて、花堂通過だ、と思ったら

単線区間に入る前にいったん停車。

 

そしてベル前へ。

高校生くらいの男子3人と、

中年の男性1人が乗り込んでくる。

貸し切りは何と無く居心地が悪かったのでホッとする。

 

「次は浅水に停車いたします」

女性車掌は言ったが、

ベル前の次にある江端で停車。

ここは行き違いらしくしばらく停まる。

何だかさっぱり急行列車に乗ってる気がしない(笑)

 

だがその先の清明駅とハーモニーホール駅は

豪快に通過していった。

このあたりの線路はほぼ直線なのだが、

モーターがうなりをあげ、

全力で走っているような印象がある。

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浅水駅に到着。

高校生らしき3人組がおりて行き、

かわりに2人乗車。

 

「次は神明駅に停車します」

女性車掌は言ったが

泰澄の里駅は通過したものの

三十八社駅で行き違いのため再び停車。

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所詮推測ではあるが、

「このレトラムはお客さんを乗せることを前提にしていないのだろうな」

そんな印象をもった。

乗ってもらうというよりは見てもらう、

福井の街に彩りを与えてくれる電車。

 

乗降口も片側1ヶ所ずつしかなく、

ステップ操作も手動とあればどうしても時間がかかる。

 

下車してから乗車という流れだからなおさらだろう。

わざわざ赤十字前行きにして後続列車を先に行かせるのも、

仮にレトラムが先行すれば

ホームで待ってるお客さんをさばききれないだろうと察する。

 

無論、単線区間で定期列車を再優先させるというのだ第一だんだろうけれど。

 

車両も古いし、運転士さんや整備の方の気苦労も絶えないであろうと察するが、

せっかくドイツ、高知、福井と渡り歩いてきた車両である。

古い鉄道を大事にする福鉄の技術力で、

まだしばらく福井の街を走っていて欲しいと切に思う。

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終点の越前武生まで行かずに

北府駅で降りたのは留置線に200形電車が見えたからだ。

運転席に「休止中」の文字。

塗装はいたるところ剥げ落ち、痛みも目立つ。

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ハピリンの屋根付き広場あたりで余生を過ごせないものかな。

200形電車こそ福井が誇る歴史的遺産といってもいいような気がするんだけどな。。。。

このまま朽ちていくなんて絶対にもったいない。

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