別にどこに行こうと決めた訳ではなく、
とりあえず福井駅へ。
まだまだ暑いし、
とりあえず飯食べて風呂入ってビールさえ飲めればそれでいい。
福井駅西口の再開発でもっとも便利になったと思うのが、
ハピリンの前にできたウェルカムセンターだ。
ともに車内でも買えるけど混んでると気を使うのよな(笑)
はて、どうするか。
財布の中には青春18きっぷも1コマ残っているが、
福井を安く移動できる日に使うのは何だかもったいない。
結局、福井鉄道の休日フリーきっぷを購入。
福井駅でもなく、市役所前でもなく、
足羽山公園口まで歩いたのは単に待つのが嫌だっただけ(汗)
乗車したのは、
鷲塚針原からやってくるフェニックス田原町ラインの、
いわば一番列車といってもいい急行で、
3両編成の福鉄Fukuramに対し、
2両編成のえち鉄ki-boなもので
いつもならそこそこ混んでる印象があったが、
この日は気の毒なほど空いていた。
ベル前駅を出発した時点で
僕ともう1人しか乗っていない。
浅水駅のホームにはびっくりするくらいお客さんの姿が見えたが、
みんな交換した田原町行きに乗り込んでいった。
さて、どこまで行くか。
武生や鯖江まで出れば、
ウマイものが多々あるのは経験上わかっている。
だが、わりと福井鉄道に乗っているわりに、
未だ乗降したこともない駅もあんがいあるよな、とも思う。
福井鉄道の車窓において好きなのは、
軌道線と鉄道線の境目である新木田の交差点、
住宅すれすれに走る旧武生市街である北府ー越前武生など多々あるが、
越前市に入った家久駅周辺。
線路と並行して吉野瀬川が流れており、
何とも風光明媚なのだ。
地図を眺めれば旧国道8号線も近いし、
何かしら食事をとれるであろう。
そんなもので家久駅で下車してみることにした。
冷房の効いた車内から外に出ただけで、
じわりと汗がにじみ出た。
やれやれ、今日も暑くなりそうだ。
橋を渡り、吉野瀬川の川岸を歩くと小高い丘があり、
小さな鳥居が見えた。
船岡神社とある。
参拝がてら苔むした石段を上る。
この時は何も気づかなかったけど、
帰宅して調べてみたら、
いろんな狛犬がいたそうですな。
平野部にある丘なので眺めがいい。
武生商業高校のわきを通って旧8号線に出た。
旧8号線沿いは車で行き来していても、
何かと気になる店が多々ある。
富山だと車で10分走ればびっくりする位にラーメン屋があるが、
福井の場合は昔から個人でやっているような、
洋食屋さんというかレストランを旧8号線沿いに限らず多く見かける。
地方だと廃業して看板だけ残っている、
なんていうのも多々見かけるが、
福井の場合は現役で頑張っているお店も多い。
確かこの周辺にもあったはず。
ただ、鯖江方面なのか、
武生方面なのか、そもそも店名も分からない。
賭けだと思って鯖江方面に歩いてみた。
ほどなく見覚えのある看板が現れた。
「レストラン マイルイ」とある。
変わった店名だなと思いつつ入ってみた。
店内はいかにも町の洋食屋さん、
そんな雰囲気に満ちあふれていた。
女性の店員さんもきちんとコック服(?)を着ており、
何とも好感がもてる。
メニューを眺めると、この「マイルイ」という店名は
オーナーさんの娘さん、マイさんとルイさんからとったとのこと。
メインを2品選べる「マイルイセット」1080円(税別)を注文。
常連さんらしき女性客がマイちゃん、
と呼んだら先ほどの女性の店員さんが出てきてたから、
まさにこの店の娘さんということか。
となりの1人客のもとにボルガライスが届いた。
チラ見しただけだが何ともウマそうである。
ほどなくマイルイセットが届いた。
選んだメインはハンバーグと白身魚のフライ。
盛り付けも見た目もとにかく上品かつ美しい。
ハンバーグを食べる。
奇をてらったものではなく、
実直、かつまじめな仕事をしている、
そんなことが感じられるハンバーグだ。
昼が近くなり、
次々とお客さんが入ってきたが、
店員さんとの会話を聞いていると、
みんな常連客のようである。
すっかり満足して勘定をしていたら、
カウンターに座っていた幼い女の子が
「ありがとうございました」と言った。
娘さんの娘さんかもしれぬ。
家族で仕事をするっていい光景だよなー、
なんてことをぼんやり思いつつ店を後にした。
帰りは船岡山をまわりこむ形で家久駅に向かった。
すると「飯部盤座神社」なる小さな看板があり、
その方向に目をやると住宅地の中に小高い丘が見える。
せっかくなので寄ってみることにした。
まず第一印象は「何じゃこれ」の世界。
まわりはあくまで田園風景の中にある小さな集落。
そこに何故か巨岩というか奇岩がゴロゴロしているのだ。
石段を上がると、心なしか風も涼しい。
調べてみると、
この巨岩は土地の豪族が別の地から運んできたものであるとのこと。
要するに人工の丘ということだろうか。
昔の方々の底知れぬパワーを感じる。
地図を眺めると、
ここは家久駅とスポーツ公園駅のちょうど中間あたりだ。
スポーツ公園駅も乗降したことがない駅だったもので、
そちらの駅を目指して歩く。
それにしても暑い。
橋にあった温度計は34度と表示してあった。
早く風呂に入ってビールを飲みたい。
スポーツ公園駅は高架橋の下にあるもので、
日陰でかつ涼しい。
ほどなく踏切の警報機がカンカンと鳴り響き、
急行列車が通過していった。
考えてみれば福鉄の駅で通過列車を眺めるのも初体験である。
普段はフェニックス田原町ラインの運行に入っているから、
普通列車の青いFukuramなんていうのもずいぶんご無沙汰である。
これまで一度も見たことがない。
このまま福井に帰って極楽湯でも行くか、
そう思いつつ、ラポーゼかわだにするか、
神明苑にするか、といろいろ考えていたら、
湯楽里のサイトでこんなチラシを見つけてしまう。
そんなもので西鯖江駅で急きょ下車。
待合室で涼んでから武生へ戻ることにした。
武生でしばらく時間をつぶして送迎バスに乗る。
僕の脳裏には風呂あがりの生ビール、
これしかなかった。
僕はたびたび風呂や温泉に行っているが、
決して風呂が好きという訳ではない。
その後の一杯が好きなのだ。
考えただけで顔がにやけてくる。
で、湯楽里に着いた僕はたまげたね。
と、いうよりは半分泣きそうだった。
この「生ビール祭り」をやっているレストラン、
昼の営業が14時までで、
夕方の営業が17時半から。
この時14時20分で、武生駅までの送迎バスは15時55分が最終便。
僕は何のために武生まで引き返して来たのだろう(涙)
暗澹たる気持ちではあったが、
とりあえず風呂である。
するとロッカーにこんなチラシがあった。
「缶ビール期間限定250円(9月末まで)」
ちょっとだけ元気が出た。
湯楽里はぬるい浴槽から熱い浴槽まで多々あるもので、
熱い湯が苦手な僕には本当にありがたい。
さて、風呂あがりである。
湯上がりサロンの一画にあるスナックコーナーに行くと、
ホットケースに「練り物」があるのが見えた。
おばちゃんに聞いたら「はんぺん」だと言う。
うまそうだったので缶ビールとともに購入。
「辛いの好きなら一味かけても美味しいよ」
おばちゃんが言ったので従う。
で、席についてはんぺんを頬張れば、
これがまたウマイのなんの。
ぐびぐびとビールが進んでしまう。
仕方なく、僕はもう1本缶ビールと、はんぺんを追加して、
すっかりい気分になって福井に帰った。