北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

新高岡駅で思う「これでいいのか高岡市?」

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数年前、高岡を訪れた際、

駅は工事のまっただ中だった。

新しくなった駅を訪れるのは初めてで、

あまりの変貌ぶりにただ呆然としてしまう。

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とりあえず城端線に乗って新高岡を目指す。

2両編成のディーゼルカーは混んでいた。

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てっきり新高岡は有人駅であろうと2両目に乗っていたのだが、

「お降りの方は一番前の扉から」なんて放送が流れ

おいおい無人駅かよ、と慌てて先頭車両に向かう。

 

前扉にたどり着くのも一苦労なほどに混んでいた。

 

新高岡までの所要時間は3分。

営業距離1.8キロ。

あっという間だ。

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以前、新幹線の車内から眺めた時、

駅の目の前にイオンがあるような気がしていたが、

新幹線駅の入口からは思ったより離れているし、

城端線からは相当離れている。

 

 

 

新高岡駅の設置が決まった段階では、

もう少しイオン寄り(東側)に建設する予定だったのだが、

城端線に駅を作るため西寄りになったなんて話もあった。

 

そこまでやった割りには城端線シャトル列車がある訳でもなく、

本数も少ない。

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駅の北側は住宅街が広がっているが、

南側は何もない。

そこにあまりにも立派過ぎる新幹線駅がそびえ立っている。

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駅前はバスロータリーとなっていた。

加越能バスの路線も大幅に改変されたようで、

高岡駅発着の路線は多くが新高岡まで延伸、

波方面に向かう路線は新高岡経由になっている。

富山から1時間に1本やってくる地鉄バスも新高岡までやってくるようだ。

 

意外と律儀に付き合った、という気がしなくもない。

というのも、加越能と地鉄は社長も同じグループ会社なのだが、

よほど仲が悪いのか細かいところが色々違う。

 

例えば高岡駅から広小路なんていう区間

両社とも路線が重複するが、

運賃は加越能が100円で地鉄が160円だ。

 

さらに両社とも金沢行きの高速バスがあるのだが、

地鉄金沢駅香林坊兼六園下の順番に対して

加越能は兼六園下→香林坊金沢駅となる。

 

従って金沢の武蔵ヶ辻や香林坊では

同じ富山方面に向かうバス乗り場が

富山行きと高岡行きで道路を挟んだ反対側になるという

摩訶不思議なことになっている。 

 

 (追記・平成27年7月16日から加越能のルートが変更になり、同一となります)

 

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新高岡駅から高岡駅を結ぶ加越能バスの路線には

シャトル6という愛称が付けられ、

10分間隔という高頻度の運行が確保されている。

また、白川郷和倉温泉といった県境を超える観光向けの路線もある。

 

ただ、氷見行きが意外と少ないような気がした。

 

氷見、ひみと読む。

サカナにうるさい富山県人も、

「ヒミ」と聞けば少なからず反応する。

「ヒミ」=「サカナがうまい」

これ富山県人の常識(多分)

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氷見市観光ポータルサイト きときとひみどっとこむ

 

日本全国の皆様には

青森・大間のマグロ、

大分・関のサバ、

みたいな感じで

富山・氷見の寒ブリと「知られている」と信じだい。

 

氷見市は人口4万8000人、

人口17万人を擁する高岡市の北側に位置する街だ。

 

で、この街、

クルマで行く場合と鉄道で行く場合とでは

まるっきり印象が変わると思う。

 

例えば、

県外の方が時刻表を眺め、

JR氷見線の寂しいダイヤを見ていると、

氷見って不便なところなんだなあと思うかもしれない。

 

では氷見の民宿で一泊しようと鉄道で訪れるとする。

最新の北陸新幹線新高岡駅で下車して、

城端線の2両編成のディーゼルカーに乗り継ぎ、

高岡駅氷見線ディーゼルカーに乗り継ぐ。

  

のんびり走るディーゼルカーは住宅街を抜けると、

いきなり海沿いに出て天気がよいと海越しに

立山連峰が見えたりする。

そして高岡駅から30分ほどかけて氷見に達する。

これぞ「ニッポンのローカル線!」てな具合である。 

 

ところが、

例えば富山方面から自家用車で氷見に向かうとする。

国道8号線は片側2車線のバイパスとなっており、

みんな「飛ばしまくる」ことを除けば快適な道だ。

 

射水市を抜け、

庄川を抜けて高岡市へ。

以前は渋滞の名所?だった下田付近も今は高架橋が貫いている。

やがて地平に下りる。

このあたりの国道8号線は片側3車線もある。

 

そして西に進んだ四屋で国道160号線に入って北上するのだが、

ここは信号のないインターチェンジになっている。

そして国道160号線もまた片側2車線の快適な道だ。

 

そして海老坂と呼ばれるゆるやかな峠を超えて氷見に達する。

交通量もかなり多く、氷見線で来る場合と比べると、

まるで違った街に見えると思う。

 

ま、鉄道より道路が便利な街なんてのは

地方なら何処も一緒かもしれない。

 

だがこれだけではない。

JR時刻表会社線のページを開くと、

和倉温泉能登島の項目を見れば

高岡〜氷見を結ぶ路線バスが1時間おきに運行されていることが分かる。

 

しかし実は

高岡〜氷見の路線バスは

メインの守山経由など日中20分毎に運行されている。

 

私は実際に訪れるまで、

まさかこんな高頻度でバスがあるとは思わなかった。

これに伏木経由などが加わるからかなりの本数といえないか。

 

おまけに高岡駅氷見駅間はJRだと30分かからないが、

概ね1時間に1本、もっとあく時間もあって320円。

加越能バスはメインの守山経由の路線で氷見駅口まで33分前後、

運賃は310円だ。

JRより安い路線バスなど地方ではかなり珍しいと思っている。

 

それほど高岡と氷見は密接につながっているとも言える。

両地出身の藤子不二雄さんはコンビを解消したけれど。

 

そんなわけでもう少し乗り入れてくるかと思っていたが、

予想が外れた。

従来通り高岡駅の南、

済生会病院まで足を伸ばしていた便が立ち寄るようだ。

 

 

 

さて、この駅には

一日二本しか飛行機が飛ばない能登空港にでもあるような施設がない。

 

飲食店だ。

北陸新幹線富山駅ホームに売店がない、

なんて話が一時ネットで話題になったが、

新高岡駅構内にはそば屋どころか喫茶店もレストランもない。

 

私が酔ってて見えなかっただけであろうか。

列車を待つにしても酒を飲むくらいしかやることがない。

イオンも歩くには絶妙な距離がある。

 

私は仕方なく缶酎ハイと、つまみ代わりに弁当を売店で買った。

ぷしゅっ。

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ガラス張りの待合室は洒落た空間ではあるが、

せめてコーヒースタンドでもあればいいのにと思う。

トイレがウォッシュレットであったのには感動したが。

 

この時は土曜日の夕方。

高岡駅はそこそこ賑わっていたが、

新高岡駅は閑散としてる。

 

やたらとこじんまりした改札口を眺め、

どんなにアクセスが充実していても、

新幹線の本数そのものが少ないのだから意味がない、

なんてことに気づく。

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これが人口17万人の街の玄関口の改札口だ。

(他に改札口があったならごめんなさい。。。)

どうみても元々利用者が少ないことを前提としているとしか思えない。

駅そのものは凄まじく立派なものなので、

違和感しかない。

 

そしてもうひとつ。

高岡駅からの直線距離は1.5キロ。

どうして併設しなかったのかという素朴な疑問に突き当たる。

用地買収云々という話が出るなら、

金沢や富山はどうなるという話になる。

東京なんて小田急線ですら複々線化している。

 

できるだけ直線にして、

と言うならよっぽど富山駅前後の方が不自然だ。

まして50年前に出来た東海道新幹線より最高速度が低い、

何ちゃって新幹線だ。

多少前後にカーブができようが何の問題もない。

 

たかだか1.5キロ、

されど1.5キロ。

 

あまりにも近くて遠い、絶望的な距離であるような気がする。

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大阪と新大阪なんてのは川を挟んで離れてる。

横浜と新横浜だってめっちゃ離れてる。

新岩国と岩国だってそこそこ離れている。

青森と新青森だって、現青森に併設すれば先に進めなくなる。

函館も同様、

岐阜羽島も岐阜からはだいぶ離れてる。

だからどっかで割り切れる。

 

九州新幹線

新大牟田新玉名もまだ納得できる(笑)

 

あとは、新神戸と三宮か。

でも新神戸なんてトンネルとトンネルの間だしな。

ただでさえ狭い神戸の街なかに

新幹線を引く訳にもいかなかっただろうし、

まあ、分かる。

 

でも、高岡なんて在来線と新幹線がほぼ東西方向に平行で走っており、

在来線駅と新幹線駅がほぼ南北同じようなライン上にあるのだ。

 

1.5キロだ。

この新幹線がもっと南、

砺波市との境あたりを通っているなら何となく割り切れるが、

たかだか1.5キロでやたらめったら妙なことになっている。

  

 

 

例えば加越能バスはこの駅まで乗り入れてきてくれているが、

あくまで既存路線の延長、ないし立ち寄りという形だ。

市内各地から高岡駅前(北側)に着いてから、

南にある新高岡駅に向かう。

 

で、高岡駅の真南にある新高岡駅に向かうには、

いったん東へ向かい、

混雑する県道58号線を南下する形になる。

 

何でわざわざ混雑するなんて書いたかと言えば、

高岡はかつての北陸本線をまたぐ(くぐる)主要道が極端に少ないのだ。

富山と違い、見事に線路の南北が分断している。

そのためこの県道58号線は慢性的に渋滞する。

 

そしてこの間、バスの所要時間は15分。

高岡駅の南口から歩いても20分もかからない距離を

15分かけている。

それだけバスは遠回りをせざるを得ない。

高岡駅南口発のバスは所要時間8分)

 

新高岡から金沢までの新幹線の所要時間が14分。

乗り継ぎ時間を考慮せずに足しただけでも29分。

 

高岡駅金沢駅なんて普通列車でも40分程度だ。

富山駅だって普通列車で18分程度で行ける。

富山に出れば「かがやき」も停まる。 

 

これだけでも高岡駅より北側に在住で、

バスを使って高岡駅に出ていた方が

新高岡駅を利用する意味すらなくなることが分かる。

 

以前、サンダーバードはくたかは、

高岡駅金沢駅を24分で結んでいた。 

これまで高岡駅まで路線バスで来て、

特急で金沢方面へ向かっていた方は

「やりきれない」だろうなと思う。

自分なら頭にくる。

 

「この新幹線は、この新高岡駅は、いったい誰のためのものなんだろう」

 

悲しくなった私は、もう一本缶酎ハイを買った。

プシュッ。

 

続けてパークアンドライドの点で考えた。

果たしてどれほどのクルマを止めれるのかと思い、

高岡市役所のサイトを覗く。

 

以下、新高岡駅周辺図。

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平面駐車場だが、

仮に駐車料金を払ったとしても24時間200円とは随分安い。

12時間なら100円だ。

さらによーく見たら720時間の上限が2000円とある。

1ヶ月2000円!!!

 

さらによく見たら

立体駐車場でも720時間の上限が6000円とある(笑)

 

ついでだから書いておくと、

私は一時期高岡市民だった。

駅南の瑞龍寺の近所に暮らしていたが、

確か駐車場は5000円以上していたはずだ。

 

ちなみに不動産屋のサイトでこの近隣、

京田ってとこの月極駐車場料金を調べたら、

6804円と書かれていた、、、、、

 

さらに市役所のサイトでこんな一文を見つけた。

本市では、交通利便性の向上や中心市街地の活性化を目的に、高岡駅周辺に6ヶ所、福岡駅前に2ヶ所、新高岡駅周辺に6ヶ所、合計14ヶ所の市営駐車場を設置しています。 新高岡駅周辺の市営駐車場の利用時間や利用料金等の詳細につきましては、以下をご覧ください。 ※なお、新幹線をご利用の方で高岡市営高岡中央駐車場に駐車された方は、30日間まで駐車料金が無料になります。(4月8日から実施)  上記の割引を受けるには、駐車券を新高岡駅改札内にある認証機で認証させる必要があります。駐車券を忘れずにお持ちください。 ※新高岡駅ご利用の方は高岡スポーツコア駐車場(無料)もご利用いただけます。徒歩10分程度かかりますので、時間に余裕をもっておでかけください。 (高岡市役所ホームページより)

これはどういうことか?

北日本新聞によると

北陸新幹線利用者が、あいの風とやま鉄道高岡駅高岡市下関町)に隣接する市営高岡中央駐車場を無料で使えるサービスが8日、スタートした。市はホームページで周知しているほか、同駅や北陸新幹線新高岡駅(同市下黒田)の改札内に利用案内を掲示し、混雑緩和につなげる。 高岡中央駐車場は、立体式で751台収容できる。約1・5キロ離れた新高岡駅に向かうにはJR城端線やバス、タクシーへの乗車が必要。新高岡駅改札内の認証機に駐車券を読み込ませることで無料化される。期間は1年間。  新高岡駅周辺では土、日曜に平面駐車場が満車となる状態が続いており、市は3月末から近くの高岡スポーツコア(同市上黒田)の一部も臨時駐車場としている。  (北日本新聞4月8日付記事より)

これは凄い(笑)

街なかの駐車場にクルマを止めて、

郊外の駅に列車かバスかタクシーで行って、

新幹線に乗りましょう!ということか。

 

パーク&ライド???

いや、これもパーク&ライドか。。。

それも30日まで無料、、、、、

 

なら、この無料になる高岡中央駐車場が普段いくらするのか。

 

調べてぶったまげる。

以下、高岡市役所のサイトから抜粋。

10.14.49.png高岡市役所HPより)

この高岡中央駐車場は屋根もある立派な「立体駐車場」だ。 

24時間1080円、以降24時間864円の駐車場が30日まで無料???

新高岡駅の立体駐車場が24時間600円で新幹線を使っても200円引きだから、

これぞ出血大サービスとも言える。

 

立体駐車場なら高岡駅をご利用ください、ということか。 

雪の降る冬季にはありがたいサービスかもしれない。

 

しかし、

高岡駅まで車で行くってことは、

ほぼ旧北陸線より北部在住の方に限られるだろう。

 

高岡駅は市内何処からも

車だと行き辛い場所にある。

そこからバスなり鉄道なりの運賃を支払ってまで

新高岡駅に向かうとは到底思えない。

 

さらに前述の通り、

高岡は駅南と駅北を結ぶ道路も少ないので、

そもそも車でも行き来が不便だ。

 

まして新幹線利用者は駐車場無料!なんて声高に言えばいうほど、

「あいの風とやま鉄道」の利用者は面白くないだろう。

せっかく頑張って路線を延長した加越能バスだって

面白く無いだろう。

 

どう考えても加越能に対する営業妨害にしか思えない。

 

新幹線さえ利用してもらえれば

他の公共交通など「どうでもいい」と言っているような政策だ。

 

これでいいのか高岡市

 

高岡市は 

このあともどんどん新高岡駅の駐車場を拡張していくかもしれない。

やればやるほど便利になるのは、

高岡市南部、戸出や中田あたりの一部の方ばかり。

あと、高岡市外の方も嬉しいだろうな。

 

小矢部市砺波市南砺市射水市の小杉地区、あとは飛騨の方。

高岡市がどんどん税金を投入して駐車場を拡張してくれる。

周辺の街のために頑張ってくれる。

 

そしてこれらの地区の方々も、

東京へ行くのに1回くらいは新幹線を使うかもしれない。

だが2回めからはこう言うだろう。

新高岡駅行って東京?なーんよ、それなら富山空港行って飛行機のるわ」 

富山空港と富山ICは驚くほど近い。

で、新幹線の料金は恐ろしく高い。

飛行機は値下げ攻勢をかけてきている。

 

で、大阪に行く方はこう言うであろう。

「大阪行くのに金沢で乗り換え?やったら直接車で行くわ」

今回新幹線の開通で恐ろしく利便性が向上する地区は、

いずれも既に「高速道路」の恩恵を受けている地区でもある。

新幹線なんぞなくても元々便利だった方々とも言える。

 

せいぜい

「今までイオンの駐車場いっぱいだったけど、12時間100円なら止めようかな」

なんて考える方が増えるだけではないか?

 

今現在、新高岡駅の駐車場が土日に一杯になるってことは、

意外とそんな利用者が多いのかもしれない。

高岡イオンの駐車場など、週末など出るだけで一苦労する。

私ならまっ先に駅に停める(笑)

 

余計なことばかり考えていたら、

列車の時間が近づいていた。

 

私は城端線普通列車で高岡へ戻った。

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時間・料金・サービスなどはいずれも平成27年4月現在です。

実際におでかけの際はご注意ください。