美しく変貌した高岡駅のデッキで缶ビールを飲んでいると、
ちょうど真下の線路を「ドラえもん列車」が出発していった。
かつての野暮ったい雰囲気はなく、
何処となく「近未来」を感じる光景と言えないか。
向かいにはウィングウィング高岡という14階建てのビルがある。
そこにはホテル、飲食店、会社だけではなく、
高岡市立中央図書館や県立志貴野高校まで入居するなど
公共施設と民間施設が一体化した複合施設となっている。
ビルの中に高校なんてのも斬新な発想で、
恐らく高岡駅の改札口からも3分とかからないであろうし、
高校時代30分の自転車通学であった私からみれば
何とも羨ましい限りだ。
さらにこの図書館もよく駅前の図書館にありがちな「分館」ではなく、
「中央館」であり、蔵書冊数は33万冊にも及ぶ。
(参考「日本の図書館 統計と名簿」2013)
校舎と同じ建物にこれだけ立派な図書館があるなんて、
何と恵まれた教育環境であろうかと思う。
さらに同じ建物には「飲み屋」も入っている。
いろいろ人生勉強も出来そうだ(笑)
高岡は街歩きをしても楽しい。
たとえば「大仏様」。
高岡には日本三大仏と(自称)される「高岡大仏」がいらっしゃる。
奈良の大仏様を見に行こうと思えば、
500円なりの拝観料を支払い、
大仏殿に足を踏み入れ「さあご対面!」みたいな
ステップがある。
鎌倉の大仏様も、
高徳院に入る際に200円なりの拝観料を支払い、
寺の凛とした雰囲気を感じつつ、
「さあご対面!」となるはずだ。
ところが高岡の大仏様は違う。
街を散策していると
住宅街のど真ん中にいきなり現れる。
ついでにかなり「イケメン」である(笑)
高岡市観光ポータルサイト たかおか道しるべ | 高岡大仏(市指定文化財)
他にも山町筋や金屋町など、
「こんなところにこんな重厚な町並みが!」
なんて思えるようなところがあったりする。
どこぞの観光地のようなハリボテ感は全くない。
市の中心部には高岡古城公園がある。
土塁や濠などが現在も残り、散策も楽しい。
特徴としては人工的な手が加えられていない「自然公園」であり、
とても人口17万人の街の中心にいるとは思えないほど、
自然豊かな環境が残されていことか。
桜の季節は凄まじい人だが、、、、
ついでに高岡の宣伝をしておくと、
富山県を印象づける写真として、
海越しの立山連峰を思い浮かべる方は多いと思われる。
これに鉄道写真の場合、JR氷見線のディーゼルカーが加わるもので、
この撮影地である雨晴海岸はつい「氷見市」と思われる傾向にあるが、
高岡市です(笑)
(何故か富山県のサイトなんか見ても、高岡市の雨晴海岸っていう記述が少ないような気がする。氷見市の松田江の長浜、とは書いてるのに)
さらに、北陸三県なんてほんと雨やら雪やらばかり
降るような地方なのに、
傘がなければ駅から一歩も外に出れない。
でも高岡はそんなことはない。
歩道にずーっと屋根があるもので、
市内唯一の百貨店、大和にだって濡れずに行ける。
(北陸三県だと小浜・敦賀も歩行者にやさしい)
ついでに高岡には北陸随一と言われる「地下街」もある(笑)
昔、駅南にダイエーがあった時も、
地下通路から濡れずに行くことができた。
些細なことで笑われるかもしれないが、
高岡は意外と交通弱者にとって「住みやすい」街だ。
例えば日常の買い物。
20年前の話で恐縮だが、
先述の通り駅南にはダイエーがあり、
(現在のイオン高岡ショッピングセンター)
その後サティが駅南に出来た。
サティには当時はまだ全国的にも珍しかったシネコンが併設されていた。
ワーナー・マイカル・シネマズでは3店舗目であったと言う。
この時は高岡市民であることが嬉しかった(遠い目)
で、サティが出来てダイエーが潰れ、
富山にファボーレやら、
高岡駅南に巨大なイオンが出来て、
サティも姿を消した。
そしてサティの跡地には現在「新鮮市場」という
地元のスーパーが入っている。
隣はホームセンタームサシもある。
高岡駅南口から徒歩5分といったところか。
駅北の市街地にも
地元のスーパーがいい感じに「分散」しているので、
日常の買い物も苦労がない。
ちょいと足を伸ばせば駅北にも駅南にもイオンがそびえ立っている(笑)
市役所や市民病院は駅から歩いて行くには距離があるが
共に万葉線・国道156号線沿い(正確にはちょっと入ったところ)にあり、
バスの本数も多い。
(但しバスはいきなり運賃が跳ね上がるので要注意)
駅から10分も歩けば銭湯も4〜5軒ある。
高岡市は元々がコンパクトにまとまっていると言える。
つくづく高岡は便利だったなと思う。
さて、高岡のヨイショはここまでだ。
そんな便利な街、高岡の本来の玄関口が高岡駅だ。
2015年3月13日まで、「サンダーバード」「はくたか」「しらさぎ」「北越」と
昼行特急の全てが停車していた、
北陸三県で福井・金沢・富山を除けば唯一の駅である。
てなもんで、
市民はどう考えていたのかは知らないが、
少なくとも市長は
「特急列車は全部高岡駅に停まっていたのだ。新幹線は全て新高岡に停車する」
と、思い込んでいた。
上越妙高に速達列車が停まる、停まらないで
新潟県知事が立腹していた時だって、
「ふふふ、気の毒なー」とヒトゴトのように考えていた。
だから2014年8月にJRが運行計画を発表した瞬間から、大騒動になった。
「なぬ、かがやきが新高岡を通過?どういうこっちゃねん!!!」
この話には前触れがある。
2011年7月の福井新聞より抜粋
JR西日本金沢支社は5日までに、2014年度末の北陸新幹線長野-金沢開業後、金沢以東の並行在来線を走る特急列車は寝台特急を除いて原則として運行しない方針を明らかにした。 対象区間はJR北陸線の金沢―直江津で、特急は大阪―富山の「サンダーバード」と名古屋―富山の「しらさぎ」、福井・金沢―越後湯沢の「はくたか」、金沢―新潟の「北越」。 同支社によると、サンダーバード、しらさぎは金沢発着となる。福井県内からを含め北回りで首都圏に行く人が増えるため、福井県を通る金沢以西の特急の運行本数が減る可能性もある。また、福井県内から富山・高岡方面を行き来する場合には新幹線と並行在来線の乗り継ぎが必要になる。
福井新聞だからこの程度であるが、
富山の北日本新聞では大騒動になっていた筈だ(笑)
要するに着々と北陸新幹線の工事が進んでいた2011年にもなって、
富山県はようやく気づいたというか知らされたのだ。
「は、サンダーバードもしらさぎも金沢止まり!?聞いてないちゃ」と。
そんでもって
何とか富山乗り入れを残してくださいと、
県知事自らJRに陳情しまくってた筈である。
ことごとく断られたようであるが。
高岡市にとっても寝耳に水であったろう。
新幹線が出来ようが何であろうが、
だからこそこんな(超)立派な橋上駅舎を作ったとは言えないか。
北陸新幹線の富山までのフル規格での着工が決まったのは
2000年のこと、
金沢までの着工が決まったのは
2004年のこと、
高岡駅の橋上化工事が始まったのは
2007年のことだ。
JRが特急列車の金沢打ち切りを通告したのが
2011年。
その直後にこの立派な駅舎が供用開始。
県知事にしろ、市長にしろ、
本当に行政の責任者たちは何も気づいていなかったのだ。
東京方面は新幹線が出来る、
新幹線ができでも今までどおり利便性が保たれる、と信じていた。
だからこそ「新幹線が出来ると便利になる」と
富山県民を洗脳し続けていたのだ。
結果、高岡駅は恐ろしく立派になったが、
優等列車は1本もなくなった。
駅北の住人は大阪行くのにも金沢行くにも
不便になった。
ついでに
新高岡駅にかがやきが止まらんと市長は大騒動。
さらに謎だったのが、
この高岡駅を橋上駅舎にしたことだ。
何度も書くが高岡は鉄道によって街が南北に分断されている。
富山はよく鉄道に関して先進県みたく評価されるが、
行政がやっていることは「だら(富山弁でアホの意味)」としか言いようがない。
せめて高岡駅を高架化していれば、
南北の動線も発生し、新高岡駅へのアクセスも容易になったはずだ。
高岡駅に集まってきたバスも、
そのまま南下して新高岡駅に達すれば遠回りの必要もない。
万葉線の延伸なんて話もできただろう。
で、別に高架化の必要のなかった富山駅を高架化して
新幹線開業後も工事だらけという醜態をさらし、
富山市は飛行機も大事だから飛行機も乗りましょうなどと言いはじめ、
高岡市はでかがやきを停めろと大騒ぎしているのだ。
JR西日本にしてみればつくづく面倒な自治体だなと思うだろう。
私がJRの立場なら間違いなくそう思う。
そしてこうも考えるだろう。
「富山はあれやれこれやれとうるさいわ。喜んでくれてるのは金沢だけか。かがやきが富山を通過すれば東京〜金沢は2時間25分、これで完全に飛行機を追い込める、ふふふ」
JR東日本もあまり富山にはいい印象をもっていないと思われる。
それは「長野新幹線」開通時の名称問題だ。
石川以上に大騒動していたのは富山であったと思う。
で、仕方なく「北陸(長野行き)新幹線」なんて妙な名称になったのだ。
あの時もおとなしくしとけばよかったのだ。
そうすればフル規格での延伸が決まった際、
名称を分けることだって出来た。
そこで料金も「打ち切り」と説明出来る。
次の新幹線の延伸は函館だが、
あちらはちゃんと「北海道新幹線」になっている。
昔から北海道へも、九州へも新幹線の延伸計画はあっただろう。
だが、北海道の方々が
とは言わなかった(はず)である。
東北新幹線の仙台駅なら何の違和感もないが、
北海道新幹線の仙台駅なら「・・・??」とならないか。
九州も然り。
岡山〜博多開業の際、
とは言わなかったと思われる。
(生まれた頃なんでよく知らんが)
ところがこれを言っちゃったのが「北陸」なのだ。
で、やたらめったら「北陸」「北陸」とゴリ押しした結果、
軽井沢や長野までが「北陸新幹線」の駅となり、
クソ高い料金をふんだくられても気づかないような状況を作り上げた。
北陸新幹線の軽井沢駅・佐久平駅・上田駅・長野駅・飯山駅なんて
シュールなジョークにしか聞こえない。
何せ、富山の偉い方々が何か言えば言うほど、
やることなすこと全てが裏目に出るのだ。
で、自分たちの発言が近隣地域に絶大なる迷惑をかけているとは
まったく気づいていない。
高岡市が「かがやきを新高岡に停めろ!」と叫べば叫ぶほど、
金沢にしてみれば「いい迷惑」だろう。
こうして北陸新幹線は北陸各地をバラバラに切り裂いていく。
実際に福井と富山を行き来していても、
車では当然変化はないが、
鉄道だと心理的にも金銭的にも「遠く」なったなとつくづく思う。
私はセブン-イレブンで缶ビールを買った。
プシュッ。
きゅーっと飲み干したら、涙が出そうになった。
福井の方々は石川ではなく富山の現状をよく見ておく必要がある。
そして冷静に考えるのだ。
果たして芦原温泉、福井、南越、敦賀なんていう駅が必要なのか。
中途半端な福井延伸など要請していいのか。
まして敦賀から先のルートすら決まっていない。
敦賀開業時にフリーゲージが実用化されているとも限らない。
長年研究されているにも関わらず、
フリーゲージが実用化されていないのには
やはり技術的な問題があるからだろう。
まして北陸の重い雪に対応できるのか。
さらに敦賀駅に関してはこんな話もある。
敦賀駅も実はリニューアルされているのだが、
いったい何処に新幹線の駅を作るのだろうと素朴な疑問を持っていた。
2014年9月30日の福井新聞より転載
福井県議会は29日、新幹線・地域鉄道調査特別委員会を開き、北陸新幹線金沢―敦賀の早期開業などを議論した。理事者はJR敦賀駅に併設される新幹線駅の高さが8階建てビルに相当する地上24メートル、新幹線駅と現駅舎のホーム間の距離が約200メートルとなる見通しを示した。在来線との乗り換えを念頭に委員からは「利用者の利便性を十分考えた駅になるよう県として要望を進めてほしい」と指摘があった。
敦賀駅の新幹線ホームが地上24メートル、
ビル8階建ての高さ!?
バカバカしいにも程がある。
とてもまともな計画とは思えない。
これでフリーゲージが実用化されなかったら、
悪夢としか思えない乗り継ぎが待っている。
どう考えても大阪までのルートが決まってからでも何ら問題はない。
新幹線なんぞなくても福井は充分便利な地だ。
よりによって一番嫌いな青一色に塗られた車両だった。
美しい車両を無残な色で塗ってしまう感覚が分からない。
車内はそこそこ混んでいて、
私はロングシートの端っこに空席を見つけて座った。
外も暗くなってきたので、地図を眺めた。
たかが1.5キロ、されど1.5キロ。
出来てしまったものにどうこう言っても仕方ない、
ならもっとうまい活用方法はないものか。
見方を変えれば直線距離で1.5キロだ。
大きな空港にあるシャトルトレインのようなもので
一体化できないものか。
中途半端に駅が分かれているからややこしいのだ。
両方共に高岡駅(笑)でいいではないか。
まもなく小矢部にアウトレットも出来る。
小杉にコストコも出来る。
今は人で溢れかえっているイオンだってうかうかしていられない。
ま、夢物語か。
でも、相当利便性は向上すると思うのだが。
金沢に到着。
この先も普通列車で福井まで帰る気力は残っていなかった。
券売機で特急券を買う。
北陸おでかけパスは特急券を買い足して乗れるのが有り難い。
私は金沢駅の2階にあるスーパーに立ち寄った。
鼓門の反対側、西口の目立たない場所にあるが、
かなり便利な存在だ。
ここで半額になった寿司とワンカップを買い求め、
サンダーバードに乗った。