9時50分。
福井駅前、ハピリンの前に設けられた案内所で、
福井鉄道の休日一日券を買い求めたら、
そこにいたのは京福バスのスタッフさんであったが、
ちゃんと時刻表を確認して
「次は10時9分発になります」と教えてくれた。
「どうも」と一礼して案内所を出る。
その後駅前商店街を直進。
せっかく時間を教えてくれた京福のスタッフさんには申し訳ないが、
市役所前まで足を伸ばせば
10時8分発の越前武生行き急行電車に間に合う。
以前から気になっていたのだが、
恐ろしくわかりづらい。
ホームが直結しているのは地下道だけで、
反対側は横断歩道と大きく離れている。
手前に横断歩道があればいいのだろうけど、
何故かない(笑)
市役所前駅にはこの日、駅員さんの姿があった。
中年の夫人に「駅前の本数減ったね」なんて言われつつ、
田原町方面に目をやって「来ないなー」なんて言う。
その時、頭上のスピーカーから
「越前武生方面の急行は5分遅れで運転しております」
そんな放送が流れた。
ヒゲ線から出てきて、
9分遅れで越前武生行きの「ki-bo」が姿を見せた。
さらに田原町行きの普通「緑のFUKURAM」まで姿を見せる。
趣味的に見ている分には何とも楽しい光景であるが、
現場は苦労が多いであろうと察する。
越前武生行きの急行「ki-bo」は10分遅れで
市役所前駅を出発した。
さて、今日は武生に中華そばを食べに行くのが目的である。
福井で暮らし始めてから、
日々武生という街の面白さに目覚めつつある。
街なかは昭和の香りを色濃く残すし、
昔ながらの食堂も数多く残っている。
残念でならないのは
そういった食堂も着々と閉店されていっているということで、
昨年訪れた「洋食のいし川」さんが閉店した、
そんなニュースをボルガラー協会のサイトで見た時は、
かなり落ち込んだ。
(復活したとの情報を頂きました。ありがとうございます!)
「暑い中よ来てくれたなー」と迎えてくれた
あの奥さんに、もう会えないのか。
いし川さんでボルガライス、
結局食べることが出来なかった。
そう考えただけで泣けてきた。
やはり「いつか行きたい」なんて思ってるだけではダメなのだな、
それは痛切に感じたできごとであった。
そんなもので気になった店があれば、
すぐに行くことにした訳で武生に向かっている。
「ki-bo」は北府駅でも普通列車との行き違いがあって、
越前武生駅には12分遅れで到着した。
この地で見る「ki-bo」が何とも新鮮だ。
考えてみればJRの車窓から「ki-bo」が見える
数少ない場所といえるかもしれない。
JRから「ki-bo」が見えれば
何か幸せなことが起きるかもしれません(笑)
武生の昔ながらの町並みは、
JRと旧8号線の間に広がっているが、
今回は日野川を渡り、
現在の8号線方面を目指した。
↓地下道の入口。老人用って何だ(笑)
途中に神社があり、
傍らの看板を見れば先に展望台もあるらしい。
せっかくの機会なので展望台から
武生の街を眺めてみることにした。
この村国山は標高約240メートル。
芦山公園として整備され、
夜景の名所であるとのこと。
車でも登れるとのことで、
遊歩道でもあるのだろう、
そんな気楽な気分で足を踏み入れたら、
遊歩道の域をこえた登山道が続いていた。
にわかに汗が吹き出す。
すれ違った方々はちゃんと「登山」の格好をしていた。
僕なんて片手かばんにパーカーである(涙)
パーカーをかばんに突っ込み、
ひたすら展望台を目指す。
到着した先には予想外に雄大な眺めが広がっていた。
眺めを堪能したら、
急に喉が乾いてきた。
中華そばに、、今日はビールだな。
ニンマリする気持ちを抑えきれぬまま村国山を下る。
今回伺うつもりでいるのは
8号線にもほど近い国高という地にある「八王子食堂」さん。
「たけふ駅前中華そば」さんのサイトを眺めて、
もっとも店の構えが自分好みだったので(笑)
駅前というにはかなり遠いが向かっている。
「八王子食堂」さんは通りからほんの少し入った先に、
いとも簡単に見つかった。
その佇まいは、何だか沖縄でよく見かける食堂にも見えた。
そして、のれんなどかかっていない。
「あれ、休みかな、、、、」
そう思って扉に手をかけたら、
無事に開いた。
先客は一人、新聞を読みながらビールを飲んでいた。
思わず「ゴクリ」となる。
お冷をもってきてくれたおばあちゃんに
ビールと「中華そば」を注文。
店内は改装されて綺麗なのだが、
驚くほど「狭い」
2人がけのテーブルが3卓、
1人がけのテーブルが1卓あるだけだ。
ほどなくしてビールが届く。
大瓶であるのが嬉しい(笑)
ビールをぐびりとやれば、
寄り道しつつもはるばる歩いてやってきた疲れも瞬時に消えた。
先客のもとにうどんと丼が届く。
うどんをすする音が店内に響く。
その音を聞いているだけで自分の腹がなる。
ほどなくして「中華」が運ばれてきた。
丼は小ぶりだけど、
麺もスープもたっぷり入っている。
澄んだスープを一口。
ホッとする、
それ以外に言葉が思いつかない。
するするーっと入っていく。
粗めに刻まれたネギと、
想像以上にトロトロなチャーシューがまたいい。
ビールをぐびり。
先客がごちそうさんと言って出て行くと、
店内は僕ひとりとなった。
片付けに出てきたおばあちゃんが、
「暑くなったねー」とニコリと笑う。
人生の大先輩に対してこんな表現を使うのは間違っているだろうけど、
このおばあちゃんが何とも人懐っこくて可愛いのだ。
おばあちゃんと話をしているだけで、
つい自分が笑顔になるのが分かる。
遠路はるばる歩いてきてよかったと思う。
勘定をすますと、
僕のカメラを見て
「暑いのに仕事か、大変やなー」とおばあちゃんは言った。
いやいや、単なる酔っぱらいです(笑)
今度は「カツ丼」も食べに来ます。
至福の一杯、ごちそうさまでした。
真っ昼間からの大瓶一本が効いたのか、
何だかやたらめったら駅が遠く感じる。
ま、慌てて帰る必要もない。
僕はのんびりぶらぶら北府駅を目指した。