布袋駅は予想外、といえば失礼な言い方かもしれぬが、
随分立派な高架駅だった。
はて、どうしてこのあたりだけ高架線なんだろうか、と思ったら、
下記の記事に答えが掲載されていた。
この高架化における最大の効果は国道155線の踏切解消であるそうな。
なるほど。
布袋駅周辺にはたくさんの布袋様がいらしゃった。
七福神の一柱である布袋様のご利益といえば、
開運、仕事運向上、金運向上といったところであろうか。
何だかとてつもなくありがたい地に足を踏み入れたような気がしてくる。
木造の住宅が並ぶ静かな通りを抜けると、
今回の徘徊の目的のひとつが見えてきた。
先日、車でこの近所を走ってて、
「むむむ」となって、
じっくり見てみたくなった、というのが今回の徘徊のきっかけであったりする。
こちらは「布袋の大仏」と呼ばれ、
高さは18メートルというから、
奈良の大仏や越前大仏よりさらに大きいということか。
案内板には以下のように記されていた。
本尊の御嶽薬師尊は請願をすると病気を除き、不具を癒し、悟りべの道に到達するといわれています。
開祖は布袋町在住の故前田秀信氏で体が弱かったこともあり、御嶽薬師尊を信仰され、名古屋市内で鍼灸医を開業、評判がよく多くの人が詰めかけたという話です。
43歳のとき夢のお告げがあり、人々を病気の苦難から助けようと建立を決意されました。
そこで、後の世の人々に立派なものを残したいと願い、御嶽薬師尊を勧請し、私財を投げうって教会を開くことになりました。
ときは昭和24年で終戦の直後、生活は困窮を極め、生きることがやっとの時代でした。
その年に地鎮祭を行ない、完成まで実に5年の歳月を費やし、すべてが手作業で整地やコンクリート練りが行われ、昭和29年2月24日に開眼、その日を記念し毎年春季大祭日とし賑わっています。(以下略)
個人の建立、それも戦後まもないころに「手作業で」というあたり、
さまざまな苦労がしのばれるが、
この大仏さま、見れば見るほど愛嬌のある顔をしておられ、
ついつい僕自身も表情が緩んでしまうのだった。
合掌。
この日は暑いのなんの。
僕は坊主なので頭皮への影響を最小限に食い止めるため、
頭に濡れタオルを巻いているが、すぐにカラカラに乾いてしまう。
資料館があったのでしばし休憩。
今回昼食にお邪魔したのは町外れにあるこちらのお店。
店内は(恐らく)地元の常連さんたちが昼飲み中で大賑わい。
空いていたカウンターに陣取り、
店主らしきお婆ちゃんに「焼きそば定食」を注文。
それにしても、でもないけど、
ひどく懐かしい気分になったのは、
ふと地元のことを思い出したからか。
今は随分減っちゃったけど、
婆ちゃん1人でやってるようなお好み焼き屋さんが、
そこいら中の集落にあった。
そしてだいたいどこの店に入っても、
昼間っからおっちゃんたちが酒を飲んでおり、
タバコを吸いつつ「あーでもない、こーでもない」と、
うだうだだべっていたのだった。
違いがあるとすればおっちゃんたちの「言葉」くらいで、
昔はどこの町にもこういったおっちゃんたちの「たまり場」みたいな
店があったんだろうな、と思う。
おっちゃん達の会話を聴きながら、しばし待っていると、
大盛りの焼きそばと佃煮がたっぷり載ったごはんが配された。
ちなみにこの後、熱々の赤だしと、
小皿に載った肉野菜炒め、酢の物まで出てきた。
「え、これ僕の分ですか」と問うてみたら、
「その時の気分次第であるもの出してんのよ、ふふふ」と笑う。
改めて思うのは僕はこういう店、雰囲気が好きで好きで仕方ない、
ということか。
婆ちゃん、腹いっぱいになりました。
またお邪魔します。
さて、今回江南市を訪問しようと思ったもうひとつの理由が「銭湯」が残っていることだった。
愛知県公衆浴場生活衛生同業組合のサイトを確認すると、
愛知県内54市町村のうち、
いわゆる一般的な銭湯が存在するのは名古屋市、豊橋市、蒲郡市、岡崎市、碧南市、半田市、瀬戸市、津島市、春日井市、一宮市、北名古屋市、清須市、江南市の13市。
地図でざっと確認すると、最も北側にあるのが江南市の「栄温泉」であるような気がした。
ただ、営業時間が16時半からであったので、
しばらく図書館で休憩。
おじさんにはただただ休憩が必要www
図書館で何冊が雑誌を読み終えると、
心なしか日差しも和らぎ、歩きやすくなっていた。
愛知県に来て嬉しかったことのひとつが
「チェリオ」の自販機がそこいら中にあること。
このご時世にペットボトルが100円。
ぐびぐび飲めば何だか中学・高校時代の部活帰りを思い出す。
あと、うちの近所のピアゴに兵庫県西播磨のローカルフード、「イトメンのチャンポンめん」も売っていたのも喜びのひとつ。
イトメンの公式サイトによると
「名古屋、北陸以西で販売いたしております。 しかしながら、私どもの営業力が不足しており、兵庫県の南西部を除くほとんどの近畿圏、徳島県、高知県の一部、鹿児島県を除く九州のほとんどの地区では販売することができておりません」とあり、
うちの両親が鹿児島と高知の出身であることを考慮すれば、
僕自身はつくづく「イトメン」と縁のある人間なんだなあ、とも思う。
閑話休題。
江南駅の西側に出ると、
昭和の面影が色濃く残る町並みが広がっていた。
駅からもほど近い場所にあるのが「広見湯」で、
こちらは平成19年には廃業されていたようだ。
しかしながら廃業から10年以上たっているとは思えほど
何ともモダンな雰囲気に満ちている。
さらにもう少し歩いた場所にあるのが「栄温泉」で、
サイトによると営業時間は16時半からとのこと。
そんなものでしばらく歩いてから戻ってきたが、
営業している気配はない。
せめて煙突から煙でもあがっていれば、
「まもなく開くんだろうな」とも思えるが、
その気配すらない。
僕は汗ばんだ身体のまま、
江南駅から電車に揺られて帰路についた。