2021年12月1日、東海交通事業・城北線は開業30年を迎えたそうな。
鉄道ファンなら誰にでも「お気に入り」の鉄道というのがあるだろうが、
僕の中で城北線というのはかなり上位にランキングされる鉄道であったりして、
若かりし頃からちょこちょこ乗りに来ていた。
しかしながらもともと「乗り鉄」だったもので、
ほとんど駅周辺のことは知らない。
城北線の駅は枇杷島、尾張星の宮、小田井、比良、味美、勝川の6駅のみ。
ダイヤは1時間に1本程度であるが、行きつ戻りつを繰り返せば、
案外効率的に各駅を訪ねることができるのではなかろうか、
そんな思いで城北線に乗りに行くことにした。
「ホリデーフリーきっぷ」を購入(画像では分かりにくいですが、720円が修正されて740円・車内でも購入可能)し、
大都市名古屋の複線高架を、
単行のディーゼル車が走るというこの違和感こそが、
城北線の最大の魅力であると思う。
小田井駅では数人が下車して数人が乗車。
そんなもので車内には10人近くはいた。
6分ほど走って枇杷島駅に到着。
こちらは愛知県清須市になる。
枇杷島駅周辺を徘徊。
JRの線路をくぐるレンガ造りのトンネルが現れた。
鉄道ファンの視点から見れば楽しい名所であるが、
なかなか開かない踏切であったりして、
1時間に1本の列車を逃す訳にはいかない徘徊者としてはちと焦る。
枇杷島駅に戻って勝川行きの列車に乗車。
ホームにはそこそこの人がいたような気がするが、
乗り込んだのは数人だった。
JRのホーム側には大きなカメラを構えた方もいたから、
何か珍しい列車でも来るのかもしれない。
列車はエンジン音も快調に、
名古屋市の北部を淡々と走り続ける。
味美駅から北に20分ほど歩くと、
県営名古屋空港を見渡すことができる公園に着いた。
平日だとわりと多くの自衛隊機が離発着する様子が見られるが、
この日は週末だからかさっぱり飛行機が現れない。
もう少し待てばFDA機の離陸が見れそうであったが、
1時間に1本の列車を逃すわけにも行かず、
おとなしく駅へ戻った。
続けて勝川駅へ。
勝川にはこれまで城北線を乗りにきた数だけ訪れているのだが、
駅周辺を散策したことはこれまで一度もなかった。
JR勝川駅から北の方角をみれば商店街が伸びており、
この日はイベントが開催されてなかなか賑やかしい。
そして商店街の末端部あたりに、
巨大な弘法大師像が現れた。
こんな凛々しいお顔の弘法大師さまは初めてお見受けしたような気がする。
合掌。
腹が減ったので勝川駅前にある中華料理屋に入った。
最近中華料理屋ばかり行っているが単に好きなのだ(笑)
大好物のレバニラ炒めにミニラーメンがついた定食を注文。
ラーメンが全然ミニじゃなくて笑ってしまう。
この日は冷え込みが厳しかったけれど、
ちょい辛めの台湾ラーメンをすすれば芯から温まってくる。
お値段税込み700円なり。
ごちそうさまでした。
僕が初めて城北線を訪れた時は、
この駅が終点だった。
当時はあくまで「乗る」ことが目的だったもので、
周辺は一切歩くことがないまま、すぐに折り返した記憶はある。
駅から西へ20分ほど歩けば、
東海道本線の車窓からも見える清州城に着く。
清州城のすぐ脇にある橋からは
JRの電車や貨物列車、新幹線も眺めることができて、
何組かの家族連れが城より行き交う電車の方に夢中になっている。
その気持ち、分かるなあ。。。。
尾張星の宮駅近くに新川文化ホールなる施設があった。
富山の方なら「にいかわ」と読んでしまいそうだけど
この地では「しんかわ」であるらしい。
尾張星の宮駅のホームで勝川行きの列車を待っていると、
向かいの枇杷島方面のホームに1人の少年が現れた。
枇杷島行きの列車はさっき出ていったばかりで、
その列車はまもなく勝川行きとなってやってくる。
少年は時刻表を眺めて「まじかー」と、
向かいのホームにいる僕の耳にも届く声で言った。
彼はしばらく周囲を見渡し、
もう一度「まじかー」と言って、ベンチに座った。
まもなく、勝川行きの列車が現れた。
高架下には謎の線路がポツリとある。
「中小田井町並み保存地区」を訪ねてみた。
「プラッシー」の看板が懐かしい。
小田井駅近くの公園に、
富士山型のすべり台があった。
こんなすべり台、名古屋以外で見たことないよなあ、
と思っていたら、実際にその大半は名古屋市にあるそうな。
小田井駅、改めてみると要塞にしか見えない。
一応エレベーターもあるけれど、
この日は健康のためひたすら階段だけを使っている。
徘徊のラストは銭湯で〆にしようと
比良温泉さんにお邪魔した。
外観はレトロであるが、
浴室はきれいにリニューアルされている、
というのがこれまで訪ねてきた名古屋の銭湯の多くに言えることであるが、
こちらもまた同様であった。
湯気が立ち込めた浴室内は案外多くのお客さんがいて、
メガネを外すとあまり見えないもので、
洗い場の空きを探していると、
「となり空いとるぞ」とおっちゃんが声を掛けてくれた。
深めの白湯にじっくり浸かる。
かつての僕はスーパー銭湯などに行ったりすると、
気泡浴がお気に入りであったけど、
最近はすっかり白湯でじっとしている、というのにハマりつつある。
何てことはなく湯の温度が一番高いからであろうけど、
銭湯の楽しみ方というのも、年とともに変化していくものなのかもしれない。
しっかり温もって外へ出た。
番台の女将さんの「ありがとう」の一声が何とも心地よい。
比良駅に向かう途中、
少し列車まで時間があったので、
何となく近くにあった寺を訪ねてみたのだけど、
この地は富山でもおなじみの武将、佐々成政の生誕地であるそうな。
思わぬところで富山とのつながりを発見できたもので、
テンションが上がる。
比良駅で列車を待ちながら、
似たような駅ばかりかと思っていた城北線の各駅も、
案外違いがあるもんだなあ、と思う。
高架上の片側一線なら勝川駅、
高架上で名二環沿いの島式ホームなら味美駅、
高架上で名二環沿いの相対式ホームなら比良駅、
高架上に島式ホームだけがあるなら小田井駅、
高架上に相対式ホームだけがあるなら尾張星の宮駅、
唯一地上にある枇杷島駅といったところか。
たぶん、ホームの画像だけみればどの駅かは分かるようになったような気がする(笑)。
さあ、一日たっぷり城北線を満喫したし帰るべと、列車に乗り込んだ。
しかしながら、何も慌てて帰る必要もないのよなあ、とも思う。
所持しているのはフリーきっぷであるし、
このまま枇杷島まで行って小田井まで折り返し、
名鉄に乗り換えればいいのだ。
いや、そのまま勝川まで行って、
最終まで延々と往復し続けるのもいいかもしれぬ。
ああ、それはそれで魅力だなあ、、、、
と思ったけれど、
いい年こいたおじさんがひたすら列車で往復しているというのも何だか大人げないよなあ、
単なる不審者よなあ、
とも思い、
おとなしく小田井で下車して帰路についた。