北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

南海電鉄高野線・末端部徘徊

 

南海電鉄高野線極楽橋行きの電車は紀伊神谷駅に到着した。

終点の極楽橋のひとつ手前。

ホームに降り立ったのは僕一人。

 

 

電車が去っていくと、

踏切を渡るバイクのエンジン音が山間に響いた。

しかしそれもつかの間で、

瞬く間に静寂が訪れた。

 

 

 

 

改札を抜け駅舎の中へ。

塞がれた窓口の奥から物音が聞こえたから誰かがいるのかもしれない。

 

 

一瞬、どういう構造になっているのか分からなかった

トイレの水道。

駅にいるというより山小屋にいるような気分になってくる。

 

 

駅前に出るとまさに山の中、かつ薄暗い。

Wikipediaによると、2022年度の一日あたりの乗降人員は9人、

南海電鉄全線の中でもっとも少ないとのこと。

 

 

薄暗い木立の中を歩く。

山側には立派な建物も見えた。

途中で何箇所か分岐していたから集落があるのかもしれない。

しかしながら自分が歩いている道には誰一人現れない。

 

 

しばらく進むと軽トラックが追い抜いていったが、

この先極楽橋まで歩く途中で見かけた「唯一動いている車」となった。

 

 

極楽橋駅の由来となった「極楽橋」に到着。

 

 

若かりし頃富山の「極楽坂」で働いていたもので

極楽橋という駅名には勝手に親近感を抱いていたが、

実際に極楽橋を見たのは初めて。

 

 

特急の終着駅とは思えぬほどこじんまりした極楽坂駅の改札口。

ちょうど特急「こうや」が到着したようで、

大勢の旅客がケーブルへと乗り換えていったが、

当然のことながら改札口を抜けてくる方は一人もいなかった。

 

 

当初は高野山まで上がって何か食べようと考えていたが、

来る途中で気になる建物を見かけていたので向かうことに。

橋本行きの電車に乗車。

出発直前まで閑散としていたが、

ケーブルが到着すると大きな荷物を持った外国人観光客がそれなりに乗り込んできた。

山中を走るローカル線の車内に様々な言語が響いている。

 

 

上古沢駅で下車。

「なんでこんなとこで降りるの?」

みたいな顔をしている外国人客にニコリと笑って見せてみる。

 

 

さて、来る時に気になったというのが以下の建物。

調べてみるとドライブインらしい。

 

 

急な坂道を下る。

最初はドライブインを訪問後、上古沢駅に戻ることを考えていたが、

この坂道を見て諦めた。

下って下古沢駅を目指すか。

しかしながらぼちぼち雨が降りそうなのよなあ。

 

 

ドライブインに到着。

当初視界に入ったのが正面のシャッターの降りた建物だったもので、

「やってないのか」と落胆したが、

左手の建物をみると営業はしている様子。

 

 

薄暗い店内に入店するとおばちゃんが電気をつけ、

さらにテレビの電源を入れた。

どうやらこの日最初の客だったのかもしれない。

ラーメン単品を注文したけど、

よくよくメニューを見たらすべての丼に柿の葉寿司をつけることができるようだった。

そんなもので厨房のおばちゃんに柿の葉寿司もお願いした。

 

 

このラーメン、ちょっと麺が柔らかめであったけど、

具材にしいたけとか筍とか入ってて、

かつチャーシューではない豚肉の旨味もあって、

かなり満足度の高い一杯だった。

柿の葉寿司もさっぱりしてまた良し。

ごちそうさまでした。

 

 

ドライブインからはしばらく国道を下った。

 

 

突如「下古沢駅」の案内板が現れた。

「え?ここ?」てな気分で上を見上げる。

 

 

階段を登った先に再び案内板。

 

 

矢印に従って進むと今度はトンネルが現れた。

 

 

トンネルを抜けた先に再び分岐。

ここも右に上がるようだ。

うーむ、僕は山登りではなく駅に向かっているのよなあ、

なんて気になってくる。

 

 

細道を抜けると下古沢駅に到着。

 

 

そしてこのタイミングでポツポツ雨が降り始めた。

ぎりぎりセーフ、といったところか。

橋本行きの電車に乗ると徐々に本降りになってきた。

 

 

さて、最後はひとっ風呂浴びて帰ろう。

ここまで高野線の和歌山側の末端部を徘徊したもので

最後は大阪側の末端部にある銭湯を訪ねてみることにした。

岸里玉出汐見橋行きに乗り継ぎ、芦原町駅で下車。

 

 

今回お邪魔したのはヘルシー温泉タテバさん。

ちょっと前の探偵ナイトスクープで「地獄風呂に入りたい」云々と紹介されていた銭湯。

ナイトスクープってちょくちょく銭湯を取り上げてくれるよなあ、とも思う。

 

 

さて、話題の地獄風呂であるが、

ヘタレな僕は指先を入れただけで断念。

身体中にタトゥーの入ったちょっと強面の兄ちゃんたちが入浴を試みているが、

みな悶絶している。

それよか強面の兄ちゃんたちがみんな少年のような笑顔になっているのが

何とも微笑ましい。

 

そこにロバート秋山さんみたいな雰囲気を持つ男性が現れて、

地獄風呂に足を入れた。

ロバート秋山さんみたいな男性は特に表情を変えることもなく、

肩まで地獄風呂に浸かる。

タトゥーの入った強面の兄ちゃんたちが

「おお、すげえ」と感嘆の声を上げる。

ロバート秋山さんみたいな男性はしばし目を閉じ、

湯を堪能すると、そのまま露天風呂の方へと出ていった。

 

隣の浴槽でその様子をみていたタトゥーの入った強面の兄ちゃんたちが、

再度入浴を試みようとするが

「熱い、熱い、無理無理無理!」となっている。

 

湯上がりにビールを注文すると、

キンキンに冷えたジョッキとキンキンに冷えた缶ビールが提供された。

ビールサーバーのメンテナンスや、

注ぐ店員さんの上手い、下手を考慮するとこのやり方は絶対にいいよなあと思う。

あわせて注文したイカ焼きをほおばりつつぐびり。

 

 

このタイミングで出てきたタトゥーの入った兄ちゃんたちは、

アイスやらパフェを食べていた。

とても平和でいい光景だった。

 

 

最後は汐見橋駅まで歩き、

桜川駅から阪神電車に乗って帰路についた。