JR小浜線、上中駅に降り立つ。
時刻は正午をすこしばかり過ぎたところ。
ここから「瓜割の滝」を目指す。
福井でテレビを見ていると、
天気予報のバックでこの滝が映る。
涼しげで良さげであるので訪ねてみることにした。
で、僕は駅から徒歩5分だと思い込んでいたのだが
どうやら車で5分であったらしい。
容赦なく照りつける夏の日差しが、
小さいオッサンの体力を根こそぎ奪い取っていく。
うう、暑い、、、、
駐車場を過ぎると沢が現れた。
一気に体感温度が下がる。
さて「瓜割の滝」の名の由来を若狭町のサイトで確認してみる。
若狭町の天徳寺境内奥に位置する「瓜割の滝」は、山あいの岩間から湧き出る清泉で、一年を通して水温が変わらず、夏でも水につけておいた瓜が割れるほど冷たい事から、その名前がつけられました。 瓜割の滝から湧き出る瓜割の水は、幾重もの地層が自然のフィルターとなり、長い歳月をかけてろ過した純度の高いミネラル成分が溶け込んだ水となっており、多くの人々に愛飲され親しまれています。 保存可能期間についても、名水百選の中でトップクラスにランクされます。 その水中の赤い石には、この水質水温でのみ生育する、めずらしい紅藻類(ヒルデンブリンチアリブラリス)が繁殖しています。
たどり着いた瓜割の滝は、
滝というよりは美しい庭園そのものであるような気がした。
その流れに足を踏み入れる。
瓜が割れるほど冷たい水、
その意味が笑えるくらいに分かるほど冷たい。
1分ほどつけていると足先が痺れてくる。
それこそ雪解けの水が流れる
黒部川や千曲川の源流部の水温が低いのは何となく理解できるが、
この北陸の中でも温暖な若狭の地において、
どうしてこのような冷たい水が湧き出るのか
不思議で仕方ない。
さらに一口水を飲んでみる。
酒浸しの身体に染み入る旨さだ。
この水でウィスキーの水割りでも飲みたいな、
なんてことをちらりと思う。
近くには天徳寺八十八ヶ所もある。
若狭町のサイトによると、
「弘法大師が四国八十八カ所を模した霊場を開くために、佐渡の石工に八十八体もの石仏を刻ませたと伝えられています」
とのこと。
ずらりと並んだ石仏を見ていると日本的でもあり、
まったく日本的ではないような気もしてくる
不思議な感覚に囚われた。
しっかり涼んでから瓜割の滝を後にした。
それにしても、だ。
この滝のすぐ近くを通る国道27号線は
帰省時なんかにもわりとしょっちゅう行き来している道であった。
にも関わらず一度も立ち寄ったことがなかった。
おそらく僕の頭の中に
「称名滝に比べたらしょうもない滝だろう」なんていう
愚かな考えがあったのだろう(笑)
こんな清涼感と静寂に満ちた空間を見過ごしていたなんて、
もったいないことをしてたなー、なんてことを思う。
小さいオッサンはぶらぶら歩く。
小学校の校門が何とも凛々しい。
若狭町歴史文化館なる建物があったので入ってみた。
旧上中町役場だ。
周辺の古墳から出土した遺物などが展示されている。
案内役の女性がいて、
「みんなレプリカではなく本物です」
なんて言われたのでついつい見入ってしまう。
(画像はhttp://www.town.fukui-wakasa.lg.jp/town/category/page.asp?Page=349より)
僕は歴史には全く疎いのだが、
ハッキリ分かったのは
古代の人間はめちゃくちゃオシャレで、
とんでもない装飾技術をもっていたということか。
小さなスペースではあったがなかなか見応えがあった。
歴史文化館から徒歩数分でパレア若狭に着く。
ここは音楽ホールや図書館、フィットネススタジオまである複合施設で、
「風呂もあるぞ」と上中在住の友人に聞いていた。
http://parea.town.fukui-wakasa.lg.jp/index.htm
ここ数日外作業が続いていたこともあり、
シャツを脱げば顔の黒さと身体の白さの違いに
フツーに笑ってしまう。
さらにずっとシャワーばかりだったので、
久々の湯船が嬉しい。
身もココロもほぐれていく。
ああ、極楽や、極楽や。
しかしこの風呂には最大の問題があった。
ビールの自販機がないのだ(笑)
そらまあ、
図書館もあるような施設に
ビールがあるなんて考える方が間違っている。
さっぱりした気分で外に出た。
田んぼの遥か彼方に「ファミリーマート」の看板が見える。
缶ビールを求め、僕は炎天下の中を歩き始めた。
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