北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

鯖江市河和田徘徊 〜つつじバス、椀椀の山うに丼、ラポーゼかわだ〜

日曜日、午前9時。

ハピリン広場にチャリンコに乗ったオッサンがふらりと現れ、

ベンチに座るなり手にしていた缶酎ハイをプシュリ。

隣にいた婦人に

「いやー、私の娘がね」

などと語り出す。

 

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婦人はとまどったような表情を浮かべつつ、

それなりににこやかに応じていたが、

待ち合わせの相手が来たのか、

「◯◯さん!」と逃げ出した。

 

オッサンはグビグビと酎ハイを飲み干すと、

ファミマに入り、

やはり酎ハイを買って出てきた。

 

うーむ、僕も飲むべかな(笑)

そんなことを考えている内に福井鉄道の電車がやってきた。

僕の手元にはいつもと同じ、

福井鉄道の休日フリーきっぷがある。

 

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鯖江の山あいにいい温泉がある」

そんな話は聞いていた。

場所は鯖江の市街地からずーっと東に向かった河和田なる地区。

車で行けば我が家から30〜40分ほどで行けるだろうが、

そうすれば風呂あがりの一杯が楽しめない。

 

ところが調べてみると、

鯖江市が運行するコミュニティバスの路線があることが分かった。

 

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http://www.city.sabae.fukui.jp/users/tutujibus/index.html

 

地方の路線バスは年々縮小され、

自治体が運営するコミュニティバスに移管されつつあるが、

ほとんどの街のコミュニティバスは曜日や運行本数が限られていて、

旅人には利用しづらいことが多い。

 

ところが鯖江市に関しては、

このコミュニティバスがなかなか充実している。

時刻表や路線図を眺めると

福井県内においては敦賀市と肩を並べる規模でなかろうか。

そして1乗車100円と格安である。

 

さらに調べてみると、

鯖江市の河和田地区は漆器の街と知られているとのことで、

地区のサイトとは思えぬほど素晴らしい出来栄えのサイトも存在していた。

 

kawada-t.jp

せっかくなので河和田の街も徘徊して、

温泉につかってこようと思う。

 

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電車は西鯖江の駅に着いた。

駅前の通りに出れば鯖江市の「つつじバス」の乗り場はすぐに見つかったが、

西山公園の麓にある嚮陽会館が始発であるようだったので、

福井鉄道の踏み切りを渡った。

 

バス停には10人前後の方がいて、

「いやー、なかなかの盛況ぶりでないか」と嬉しくなったが、

すぐに旅行会社の観光バスがやってきて、

バス停にいた全員が乗り込んでいった。

「・・・」

 

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ほどなくして「河和田線」のつつじバスが到着。

大型の立派な車両だ。

嚮陽会館からの乗車は僕ひとり。

商店街やJRの鯖江駅

8号線を渡った先にあるバス停などで1人ずつ乗車があり、

バスは河和田地区へと向かう。

 

天気は快晴。

広がる麦畑が何とも美しく、

中島みゆきさんの歌でも口ずさみたくなる。

youtu.be

 

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バスは河和田へ向かう道路を中心に、

右の集落に入ったり、左の集落に入ったり、

スーパーの駐車場に入ったりと、

右左折を繰り返しながら進み、

嚮陽会館から35分ほどかけて河和田口のバス停に着いた。

30分以上乗ったのに運賃が100円とは何だか申し訳ない。

 

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河和田の中道通りを歩く。

なるほど漆器店の看板を掲げた家が多い。

 

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住宅の合間に立派な鳥居が見えたので、

向かってみた。

敷山神社とある。

境内に入ると「漆器神社」なるものまであった。

 

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本殿までは案外と急な階段が続いており、

それなりに息が切れる(涙)

 

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だが下りがてらに河和田の街を眺めてみると、

想像以上に多くの家屋が密集していることが分かった。

先の河和田地区のサイトによると、

この地区には4,400人もの方が居住しているとのこと。

 

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神社から下って再び集落を歩く。

出歩いている方もほとんど見かけず、

車の往き来もほとんどなく、

喧騒とは無縁の何とものんびりした時間が

河和田の街には流れていた。

 

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「トントントン」

そんな小気味良い音が聞こえてきたので目をやれば、

蕎麦屋があった。

店先で旦那さんが蕎麦を打っている。

開店準備をしていた奥さんの愛想がいい。

 

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さらに進むと「うるしの里会館」なる施設まであった。

鯖江市の観光サイト「さばかん」には

こんな一文が書かれている。

 

うるしの里である河和田地区は、業務用漆器の生産地として国内生産の約8割を占めます。約1500年もの歴史ある伝統的工芸技術を守りつつも、現代的なニーズに答える製品を生み出す産地のシンボル的な存在なのが「うるしの里会館」です。

さばかん | 鯖江観光公式サイト

 

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国内で業務用漆器の8割をこの河和田で作っていたとは

何とも驚きの数字である。

 

中にはカフェも併設されており、

「山うに丼」なる一品に心ひかれたが、

今回はどうしても行ってみたい食堂があった。

その名は「山岸食堂」。

 

地元の方に古くから愛されており、

何でも、中華そばとソフトクリームが絶品であるとのこと。

 

ところが周辺をうろうろしてもさっぱり見当たらない。

誰かに訪ねてみるにもそもそも誰も歩いていない。

グーグルマップが違っているのか、

ではヤフー地図で確認しても見当たらぬ。

しばしさまよっていたらご婦人の姿が見えたので、

「山岸食堂って何処にあるンですか」と尋ねてみた。

 

すると、ご婦人は

「お兄さん、ソフトクリーム食べに来たの?」

と言う。

よほどソフトクリームが有名なのか。

 

普段は甘いものを食べぬが今日は食べてみるか、

そう考えた矢先、

ご婦人の口から飛び出してきたのは

予想外の一言だった。

「火事で焼けちゃったのよ。ほら、そこ、空き地になってるでしょ」

「・・・」

 

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結局、うるしの里会館に戻って、

気になっていた「山うに丼」を食すことにした。

「椀椀」なるこちらのお店、

地元のご婦人たちがやっているお店のようで、

何故かお勧めは「グリーンカレー」とのこと(笑)

 

週末にはミニバイキングがセットでつくらしい。

品数は多くはないけれど、

「山うに丼」を待つ間に少し頂いてみる。

ゴボウのきんぴら、タケノコと厚揚げ、ふきの煮物、

山くらげ(多分)の酢味噌和え、

野菜の天麩羅に緑が鮮やかなキュウリの漬物、

どれもこれもほっこりする美味しさ。

 

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ほどなくして「山うに丼」がやってきた。

ご飯を覆う「とろろ」の上に載っている赤いものが「山うに」とのこと。

 

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はて、この「山うに」とは何かと尋ねてみたら、

「ゆずを2時間ほどかけて練りあげて作るンです。赤いのはナンバですね。河和田ではそれぞれの家庭で作るンですけど、色も辛さも全然違います。ここのは辛さを抑えてるンでちょっと物足りないかもしれませんが」

と、店員さんが教えてくれた。

 

早速頂いてみると、

とろろ丼はシンプルな味であるけど、

この「山うに」が加わることによって、

味に何ともいえぬ奥深さが出てくるのだ。

まさに名脇役。

 

何となくだけど、

以前に新潟の上越で食した「かんずり」という食べ物を思い出した。

かんずりは唐辛子、山うにはゆず、

原材料は違うのに似たような味わいがある。

無論、並べて食べれば別物なんだろうけど。

味の記憶なんていつもおぼろげなものだ。

 

すっかり腹も満たされて椀椀を出た。

 

さて、今回の最大の目的は温泉である。

目指す「ラポーゼかわだ」はここから約2.5キロ先。

ちょうどバスもあったけど、

腹の中を落ち着かせる意味もこめて、

歩いて向かうことにした。

 

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アルコール依存症気味の割にはそれなりに頑張って歩き、

ラポーゼかわだには約30分で到着。

日帰り入浴は550円。

受付の男性の浴室の案内が丁寧で好感がもてる。

 

「かわだ温泉」は肌がすべすべになる重曹泉と 動脈硬化防止に効能のある芒硝泉が同時に含まれる日本でも数例しかないという珍しい温泉です。

 

www.lapause.jp

僕がこの温泉に惹かれたのは

「動脈硬化防止に効能のある芒硝泉」との一文で、

動脈硬化なんて言葉に反応した自分を、

我ながら「おじさんになったよなー」と笑ってしまう。

おそらく20代の頃なら気にもとめていなかっただろう。

 

ちなみにラポーゼとはフランス語で「ひとやすみ」を意味するらしい。

なぜフランス語にしたのかは不明だけど(笑)

 

露天風呂はほんのり薄茶色。

熱くもなく、ぬるくもなく、ちょうどいい湯加減。

歩き疲れた身体に優しく染み渡る。

目の前に広がる杉木立も何とも美しい。

はあ、極楽や、極楽や。

 

動脈硬化防止に効果がありますように、、、

ガサガサの肌も美しくなりますように、、、、

普段はカラスの行水だけど、それなりにゆっくり浸かる。

 

風呂あがり、

帰りのバスまではまだ1時間以上あったもので、

缶ビールを買って畳の休憩室に入ってみることに。

10足以上靴が並んでいる割に随分静かだなと思って障子を開けたら、

おそらく地元の婆様方が横になっている、

というより爆睡していた。

 

隙間を見つけて缶ビールをぐびり。

NHKの旅番組を見ていたら、

またどこかに行きたくなってきてウズウズしてくる。

我ながら弱る。

 

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婆様方の寝息を聞きつつ、

いつも福井鉄道えちぜん鉄道のフリーきっぷを買うと、

ついつい欲張って乗りまくってしまうが、

たまにはこんなふうにのんびり過ごすのもいいもんだ、

そんなことを考え、僕も横になってウトウト。

 

気づけばバスの出発時間が迫っていた。

危ない、危ない、このバスを乗り過ごすと次は2時間後だ(笑)

 

ラポーゼかわだのバス停にバスがやってきた。

帰りは西鯖江の駅までずっと貸し切りだった。

 

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