出掛ける前に着替えていると、
相方が「本当に腹が出てきたね」と呆れたように言う。
「40過ぎると腹は出てくるものだ」
いつも通りそんな言い訳をしてみたが、
それ以上相方は何も言わずに目をそむけた。
日頃から極力車に乗らず、
歩いたり自転車に乗ったりしてるンだけどね、、、(涙)
運動不足の解消に、
普段から足羽山を散歩しているのだけど、
「八幡山もいいよ」などと以前歩いている方に聞いたことがある。
調べてみると、足羽山の向かいにある山である。
足羽山、八幡山、それに兎越山をあわせて「足羽三山」と呼ぶそうな。
兎越山、はたして何と読むのかと思えば、
「おさごえやま」であるとのこと。
なるほど、それで「おさごえ民家園」なんてのがあるのか、と
色々つながってきたもので、
兎越山と八幡山を歩いてみることにした。
福井駅からPLANT3行きのバスに乗る。
僕はこのバスが大名町の交差点で左折して、
フェニックス通りを南下、
赤十字病院のところで西に向かうと考えていたのだが、
大名町の交差点は直進して、
九十九橋北の交差点を左折した。
足羽川を渡って久保町で再び左折。
毛谷黒龍神社の前を通り、
山奥町で右折。
あれ、このバス赤十字病院経由でなかったっけ?
なんて思っていたらサークルKの先で左折して
「豊公民館」の前を経由(みのり、と読むそうな)、
さらに突き当りを左折して赤十字病院に入り、
再び西へ向かった。
予想もしないルートを通るのは路線バスの楽しみであるが、
この日は久保町から先は貸し切り状態で、
何とも寂しい。
おさごえ民家園でバスを下車。
ずいぶん乗った気がするけど運賃は200円。
京福のバスは200円で案外色んなところに行ける。
バス停のすぐ近くから階段が伸びていた。
足を踏み入れれば緑が濃い。
すぐ傍らに交通量の多い県道があるにも関わらず、
静寂の空間が広がっていた。
気分よく階段を上がる。
しばらく進むと車道に出た。
視線の先に「かんぽの宿」が見えたもので、
あのあたりが山頂であろうと考えて歩く。
で、「かんぽの宿」に到着。
ここは何度か日帰り入浴に来たことがある。
500円で入れるし、眺めも良い。
はて、山頂は何処だ。
掃除をしていたおじさんに
「兎越山の山頂は何処ですか?」と訪ねてみたら、
「ここだ」なんて言う。
「これ以上進んでも下りしかないよ」
「・・・」
来た道を戻って、
今度は車道を経由して「おさごえ民家園」に下った。
野外学習でもやっているのか、
おさごえ民家園からは子供たちの元気な声が聞こえる。
そのまま道路を渡って八幡山へ。
八幡山には展望台もあるようで、
福井の夜景スポットになっている、
それくらいの前知識だけはある。
どんな成長の過程を辿ったのだろう?(笑)
兎越山では歩く人を殆ど見かけなかったが、
こちらでは何人も見かけた。
前を歩くおじさんは大音量でラジオを鳴らしており、
懐かしい80年代のアイドルのヒット曲が聴こえてくる。
あれ、誰の何て曲だったっけ?
おじさんのペースに合わせることにして、
しばし考えた。
しかし考えても考えても出てこない。
おじさんが立ち止まったので先へ進む。
道は下りになっていた。
あれ、山頂は何処だ?
視線の先に広場のようなものがあった。
ここも、まあ、眺めは良い。
八幡山の中腹から福井の町を眺めていると、
呉羽山から眺めた富山の町と似てるような気がしてきた。
その先に駅があって、
駅の左手にあるハピリンがタワー111で、
駅の右手にあるアオッサがCICで、みたいな。
駅の手前、右側に大きなマンションがあるのも同じだ。
さて、本来の展望台は何処かと
作業をしていた方に尋ねたら、
かなり手前で曲がる必要があったそうな。
「・・・」
ま、いっか、山頂は次回にするか(涙)
竹林の中に歩道が見えたので下ってみることにした。
竹林は荒れていたが、
まさに「竹の子」が「竹」へと成長する過程が、
一目瞭然で分かる空間だった。
麓へ降りてフェニックス通りまで出て、
ふむ、ここに出たかと確認。
適度に歩いたもので、適度に腹が減っている。
気になるお店を見つけていた。
日頃から徘徊を繰り返していると、
車では気づかないような店に出会えたりする。
場所は福井市の月見町。
このお店には看板が見当たらない。
のれんにも店名を示すものはない。
玄関の脇に営業時間と定休日を記した紙が貼ってあり、
そこに「初音支店」とあった。
店内は横に長いカウンターのみ。
先客はおらず、
愛想の良い奥さんが「いらっしゃい」と迎えてくれた。
カウンターには何品かおかずも並んでおり、
脳裏にビールが浮かんだが今回はガマン(笑)
メニューは麺類や丼を中心に充実している。
中華そばも食べたいし、カツ丼も食べたい、、、
で、誘惑に勝てぬまま
この2つがセットになったものを注文。
直後に男性客が入ってきたが、
メニューも見ずに「中華そば」を注文していた。
ここは中華そばで正解だったか。
カウンターの先は厨房なので、
奥さんが作業をしているのがよく見える。
店は奥さん1人でやっているようだ。
驚いたのは冷蔵庫から豚肉のブロックを出してくると、
そのカットから始めたことか。
パン粉を付けてフライヤーに投入。
奥の鍋で麺をゆではじめ、
今度は小鍋をコンロにかけた。
丼に使う、いわゆる「親父鍋」ではない。
小さな雪平鍋だ。
丼にご飯をよそって、卵をとく。
揚げたてのとんかつをカットして小鍋に投入。
その間に中華そば2人前を仕上げ、
ほぼ同時にかつ丼も完成。
何という手際の良さだろう。
一切の無駄のない、流れるような動きについ見入ってしまった。
カツ丼と中華そばのセットが届いた。
中華そばはまさに王道とも言える
本格的なもの。
これだけでも嬉しいのに、
ちょっと濃い目に仕上がったカツ丼のウマイこと。
麺がのびぬ内に中華そばも食べたいし、
アツアツの内にカツ丼も食べたいし、と
右に左に忙しい。
中華そばを食べ終えた男性客が先に席をたち、
奥さんとほんのすこしお話。
「ダイエットのつもりで八幡山に来たのに食べ過ぎちゃいました」
と言えば、
「あらあら、本当に食べ過ぎですね」
とニッコリ笑う。
笑顔が素敵な奥さんだ。
食堂の奥さんというより、
小料理屋の女将さんといった方がしっくりくる。
ごちそうさまでした。
店を出てからふと思った。
何で「初音支店」なんだろ?
どこかに本店でもあるのだろうか。
浅水にも「大もりそば支店」なんて店があるが、
あちらには「大もりそば本店」も存在する。
ネットで調べてみてもさっぱり分からぬ。
ま、今度はおかずをつまみにビールでも飲んで、
奥さんに聞いてみることにしよう(笑)
電車で帰ろうと福鉄の赤十字前駅に行ったら、
まさに電車が出発したばかりだった。
次の電車は20分後。
昼間から食べ過ぎたことを反省して、
福井駅まで歩いて帰ることにした。
ダイエットのために山を歩いているのに、
それで腹が減って食べ過ぎては何の意味もなさぬ。
これくらいでカツ丼と中華そばのカロリーを消費などできぬと分かっていても、
日々の心がけが大切であろうとは思っている。
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