朝から相方に
「6時のダイナスター乗るから駅まで送ってけ」と
叩き起こされた。
以前なら福井駅にも長距離きっぷを買えば安く駐車できる
「パークアンドライド」の駐車場があったもんで、
それこそ勝手に出かけてくれたのに、
なくなった今となっては何故か僕にしわ寄せが来る(涙)
で、相方を車で送迎した後に、
僕は歩いて福井駅に向かっていたりする。
何だか理不尽な気もするが、
酒を飲む気まんまんなもので仕方ない。
天気は快晴。
電車に乗って温泉行ってビールでも飲もうと思う。
FUKURAMを期待していたが、
元名鉄の800形なる車両である。
どんな車両が現れるのか分からないのが福井鉄道の楽しみであるが、
ほぼ期待した車両というのは現れない。
ホームには駅員らしき若者が一人立っていた。
昔懐かしい「がま口」のカバンを2つぶら下げている。
この日は土曜日だったので、
彼からフリーきっぷを買おうと思ったら、
「車内でお待ち下さい。後ほど伺います」
と丁寧に頭を下げる。
で、その駅員らしき若者からフリーきっぷを買ったのだが、
その彼を乗せたまま電車は動き出した。
おや、彼は車掌であるのか。
今日はツーマン運行でもするのか、
そんなふうに思ってみていたら
彼は市役所前でがま口のカバンをひとつ運転士に渡すと降りて行き、
向かいに停車していた駅前経由田原町行きの普通電車に乗り込んでいった。
駅前と市役所の間を往復し続けるのだろうか?
週末の朝ということもあるのだろうけど、
車内は空いていた。
10人もいなかったと思う。
ただ、公園口と木田四ツ辻を除いては
何処の駅にも数人とはいえちゃんとお客さんが待ってるし、
時折下車するお客さんもいる。
そんなあたり前のことが何だか嬉しい。
些細なことかもしれないけど、
年配者にとっても優しい鉄道であると思う。
それに、全線乗り通しても片道400円なんて、
地方私鉄にしてはかなり頑張っていると思われる。
JRと競合している以上仕方ない、のかもしれないが、
何だか妙に応援したくなる鉄道である。
土日のフリーきっぷなんて昨年値上げしたとはいえ、
550円だ。
これで20キロ以上ある区間が乗り放題なのだ。
車両はバラエティに富んでいて、
併用区間の存在など趣味的にも楽しい。
鉄道に乗ってるだけでシアワセを感じる僕みたいな人間には、
本当にありがたいし、
福井に住んでて良かったと思える点のひとつである。
電車は50分ほどかけて越前武生駅に到着した。
向かいのホームにはFUKURAMが停車中。
改札口で「温泉の割引券をください」と言ったら、
「バスは9時54分発になります」と告げながら、
駅員さんが「湯楽里」の割引券を出してくれた。
福井鉄道を利用すると、
鯖江の神明苑と武生の湯楽里という温泉施設が割引になるのだが、
福井鉄道のサイトからは広告が消えており、
福井駅前の電停の広告もなくなっていたもので、
このサービスもなくなったのかと不安に思っていたが、
まだやっているようで一安心。
湯楽里の入浴料は通常600円だけど、
この割引券の利用で400円になる。
さらに湯楽里は武生の郊外にあってとても駅から歩ける距離ではないが、
1日4往復とはいえ無料送迎バスがある。
要するに福井から武生まで電車に乗って温泉入るだけなら
週末だと1000円でお釣りが来る訳だ。
ただ、いつまでこの割引サービスをやってくれるのかは分からない。
福井鉄道は企画きっぷが年々減っているのが寂しい点ではある。
バスのりばには年配の方が数人、
世間話なんぞをしながらバスの到着を待っていた。
ほどなく送迎のマイクロバスがやってきた。
驚いたのは次のJR武生駅で8割方の席が埋まり、
途中のバス停からも乗車があって満席になったということか。
ちなみにほとんどが年配の女性である。
パッと見ていた感じでは、男は僕を含めて2人。
「あんた今日なんで駅から乗らんかったん」
「眼科行ったらいっぱいやったからお風呂にするわ」
「今日は夕方までお風呂におる」
みなさん知り合いというか、
常連客ばかりのようで、
老人会のバスに乗りあわせてしまったような気もしなくもない。
15分ほどかけて湯楽里に到着。
帰りのバスは11時25分発があるから滞在できるのは1時間少々。
カラスの行水である自分にはちょうどいい。
ただ、風呂あがりのビールだけは飲みたいと思っていたら、
この日に限ってレストランは12時からの営業となっていた。
普段は11時からとのこと。
「・・・」
斜行エレベーターに乗って浴槽階へ。
浴室の様子は下記リンクにて。
ここの風呂でありがたいのは
湯温が違う浴槽が幾つかならんでいることで、
身体が冷えてる段階では「ぬるめ」の湯につかり、
身体が温もるのにあわせて
徐々に高温の湯に入っていけば
身もココロもぽっかぽかになれるということか。
熱い湯が苦手な僕には本当に助かる。
ぽっかぽかになれば無論ビールである。
まだ午前中なんてことは僕には一切関係がない。
だが、休憩所にはたくさん生ビールのポスターが貼ってあるにも関わらず、
軽食コーナーは11時30分からの営業であった。
帰りのバスは11時25分。
これを逃せば次は14時25分。
「・・・」
武生の街に出てから昼飯がてらビールでもいいかな、
そんなことも考えた。
けど、風呂あがりのビールを飲むために武生まで来たのである。
時間がたてばたつほどその旨さは半減する。
あれこれ悩むまでもなく、
僕は自販機で缶ビールを買った。
ま、安くあがって良かったとするか。