北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

黒部峡谷パノラマ展望ツアー

今年の春先だったか、

家族旅行で宇奈月温泉に行っていた福井在住の友人が、

「これどう思うよ」と、

写真を送ってきたのが「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」のチラシだった。

 

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内容は黒部峡谷鉄道の終点、

欅平からさらに一歩先の関電専用エリアに踏み入れるもので

参加費は大人1人あたり6000円。

黒部峡谷鉄道で単純に欅平を往復すれば3960円であるから、

2040円の追加料金で「なかなか行けない場所」に行けるのは

価値あるものであるような気がした。

 

「意外といいかもしれんなあ」と答えたら、

その夜には「予約取れたし行くぞ」と連絡があり、

昨夏渋温泉を訪ねたおじさん4人でこのツアーに参加することになった。

 

 

 

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おじさん4人は朝の宇奈月温泉に。

黒部峡谷パノラマ展望ツアー」の受付は黒鉄宇奈月駅の2階とのこと。

受付を終了すると、4人分かひとまとめになった黒鉄の乗車券と、

首掛け式の参加証が配布され、

係の方から詳しい説明がある。

 

何かと強調されていたのは

「パノラマ展望台までは本格的な登山道ですので決して無理しないでください」とのことで、

腹回りの肉と会話の節々に「病院」が出てくるようになってきたおじさんたちは

思わず顔を見合わす。

 

さらに「トイレが限られている」とのこと。

欅平駅ホーム、ならびに竪坑展望台の2か所のみ、とのことで、

やはり「トイレが近い」おじさんたちは顔を見合わす。

 

そして「往路での飲酒は厳禁します」とのこと。

危ない、朝から飲むつもりだった、、、

 

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トロッコ列車宇奈月駅を出発。

僕自身は山歩きの「下山時」にトロッコを使うことが大半だったので、

宇奈月駅からの乗車そのものがずいぶん久しぶりであるような気がする。

さらに下山時であるから大半寝ているもので、

実はあまり景色を見た経験も少ない。

そんなものでそれなりの回数を乗っているわりには、

景色が新鮮に感じる(笑)

 

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約1時間20分の乗車で欅平駅に到着。

集合場所は改札口とは反対側のホーム末端部となっており、

こちらで関電のガイドさんと合流し、

ヘルメットが配布される。

 

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ほどなくして欅平から先に伸びるトンネルの中から、

関電の専用列車が姿を見せた。

僕らはこの日「3便」に参加したが、

「1便」に参加された方々が下車してくる。

入れ違いに専用列車に乗車。

牽引する機関車は昭和10年頃から使用されているとのこと。

 

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専用列車は途中でスイッチバックして、

竪坑エレベーターへ。

昭和14年に完成したものですが、メンテナンスはばっちりですので安心してご乗車ください」とのこと。

このエレベーターで一気に200メートル上る。

 

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上った先にはヘルメットの集団がいて、

こちらは2便の参加者らしい。

ここでトイレもある「竪坑展望台」へと案内される。

 

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「竪坑展望台」は「黒部ルート」の見学会でも立ち寄るところであり、

僕はここから散策するものだと考えていたが、

再び「集合してください」となった。

 

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再びトンネル内に入り、

竪坑エレベーター脇の通路を経由して、

竪坑エレベーターの裏側へ。

この先は「黒部ルート見学会」では踏み入れないエリアであり、

トンネル内を伸びる線路、

複雑に分岐するポイントを眺めるだけてもテンションが上がってくる。

 

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最後は急な階段を登りきって外へ。

「上部トンネル出口周辺広場」とされるところで、

ここが「パノラマ展望台」へのスタート地点となるのだが、

こちらからの眺めもまた十分満足できるもの。

 

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ガイドさんは関電のスタッフさんから、

黒部市のスタッフさんへバトンタッチとなる。

このツアー、かなり多くの方の協力で成り立っているようだ。

 

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黒部市のガイドさんから

「この先は本格的な登山道ですので決して無理をなさらないでください」

と口酸っぱく繰り返されて、

年配の女性を始め、数人は先へ進むのを断念した模様。

 

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歩き始めて数分で見覚えのある景色が広がって「ありゃ?」となる。

僕はこのツアーのために新たに登山道を整備したと思っていたのだが、

その大半はいわゆる「黒部の下ノ廊下」へ通じる「水平歩道」なる登山道の一部なのだ。

 

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この水平歩道は北アルプスの登山道でも「健脚向き」とされており、

おいそれと初心者が足を踏み入れることはできないのだけど、

その一部を歩くことができるというのもまた、

このツアーならではの魅力であるような気もするし、

ガイドさんが「本格的な登山道である」と繰り返していたのも納得である。

 

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「上部トンネル出口周辺広場」から約20分ほど歩いて「パノラマ展望台」へ。

この日の気温が高かったというのもあれど、

運動不足気味のおじさんたちは既に汗だくに。。。

 

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それにしても、水平歩道は何度か利用しているが、

こんな場所があったとは知らなかった。

「昔からこんなところあったんですか」と訊ねてみたら、

「あることはあったのですが、このツアーのためにベンチなどを設置しました」

とのこと。

 

しばし景色を堪能してから来たルートを折り返して欅平へ。

 

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ガイドさんと別れた3便の参加者の大半は

ほとんどが欅平駅の食堂に直行したようで、

そこいら中にさきほどまで行動を共にされた方がいた。

僕は「峡谷カレー」なるものを食したが、

なぜこれが「峡谷」なのかは不明(笑)

 

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今回このツアーに参加した率直な感想は、

単に欅平を往復するより遥かに満足度は高くなる、ということか。

一般人が立ち入れない場所、という点では工場見学にも通ずる楽しさがある。

 

同時に

何も宇奈月発着のツアーにするのではなく、

欅平発着のツアーにした方がいいのではなかろうか、とも思う。

 

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というのも、黒部峡谷鉄道には「夏休みこどもデー」といった

家族向けの割引きっぷや乗り放題きっぷも存在し、

さらに欅平周辺には数件の宿泊施設もあるのだから、

欅平に来た方がプラスアルファで楽しめるという形にした方が、

手軽に参加できるように思う。

 

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さらに僕の友人がこのツアーの存在を知ったのは、

春にトロッコ列車の予約をして現地に行ってから、

であったらしいし

僕自身も北陸新幹線が開業した際にこのツアーが始まったことは知っていたが、

今もやっているとは思っていなかったというのが正直なところ。

 

そういった意味においても

根本的に「PR不足」であるような気がするのは否めない。

この日も3便に関しては定員53人に対して、

参加者は25人ほどであったように思う。

(2便は40人ほどいたようですが)

 

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黒部ルートが開通しちゃえばこのツアーがどうなるのか、

先行き不透明な部分もあるし、

週末にトロッコ欅平を往復される予定をされている方には、

ぜひこのツアーへの参加も検討してほしいなあ、

と、感じた次第。

 

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で、帰りのトロッコは時間的なこともあってか、

定員一杯で大混雑。

帰路は追加料金を払って「リラックス車両」などを利用した方が

ゆっくり寝て帰れるのかもしれません。

混んでる開放型客車での居眠りは至難の技です(笑)

 

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この日は宇奈月温泉の「やまのは」さんに宿泊。

いやはや、久々によく飲んだ(汗)