北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

阪神電鉄本線・尼崎駅周辺徘徊

 

大阪梅田行きの直通特急は尼崎駅に到着した。

阪神なんば線の開業後は兵庫県内から大阪ミナミへのアクセスが一気に向上し、

これまでも乗り換えの為にちょこちょこ利用している駅ではある。

しかしながら、改札を抜けるのは一体何十年ぶりなんだろうか。

 

 

尼崎はダウンタウンのお二人の出身地として知られる街であるが、

僕の両親が出会った街でもある。

父も母も働きながら尼崎の定時制高校に通っていたのだけど、

母親の住み込み先が阪神の尼崎駅周辺だったようだ。

結婚後も母は当時の住み込み先との付き合いが続いていたようで、

幼い僕や妹を連れて、ちょくちょくこの尼崎を訪れていた。

 

そんな記憶が残ってるのも

普段大阪方面に出かける時は国鉄ばかりだったのに、

この時だけは阪神電車を利用できたから、

という理由もあったのかもしれない。

 

 

 

そういったこともあって、尼崎もまた、訪ねてみたい街のひとつだった。

ただ、今の歳になって尼崎駅前に降り立ったところで、

当時の記憶と結びつくものは何ひとつない。

 

 

駅から西へ向かうと活気のある商店街が続いていた。

神戸にしろ、尼崎にしろ、商店街が賑やかなのは嬉しい限り。

そんな商店街の一角にある喫茶店に入り、昼食をとることにした。

 

 

紫煙ただよう昭和の面影を残す喫茶店

そこに集う地元の方々。

うまくいえないけど、何かいい。

 

店内は細長い作りとなっており、

一番奥の壁面には巨大なテレビが設置されている。

そして、そのテレビに映っているのは中日ー巨人戦だった。

僕はそのテレビの脇の席につき、日替わりランチを注文した。

そして入り口の方に目をやると、小さめのテレビが設置されており、

そちらでは阪神DeNA戦が流れていた。

 

要するに入り口に向けて座るか、

奥に向けて座るかでいずれかの試合を観ることができるようになっているのだけど、

この時に関しては中日ー巨人戦を見ている人の方が多いように感じた。

ま、尼崎だからといってみんながみんな阪神ファンというわけではないわな(笑)

 

 

この日の日替わりランチはハンバーグ。

注文してからメニューをよくよく見たら14時までとあったが、

時計を確認したら14時20分すぎにも関わらず、

快く提供していただき、ただただありがたい限り。

これに飲み物までついて750円と、お値段もまたありがたい限り。

 


商店街を外れ、阪神電車からもよく見える「鳥居」のある

尼崎えびす神社へ。

あらためて見上げると、とんでもなくでかい鳥居であるが、

神社そのものはこじんまりしており、

ベンチでは数人のおじさんたちがいい表情でお酒を嗜んでおられた。

 

 

暑かったもので、アーケードの下へ戻る。

商店街にはいろいろ食べ歩きできそうなものを売っており、

愛想のいいおばちゃんの誘いに惹かれるように、

柄にもなくフルーツサンドを購入。

 

 

いい年したおじさんが、口のまわりをクリームまみれにしつつ、

かぶりつく。

あー、ただただシアワセ。

 

 

賑やかな通りだけではなく、

突如としてシャッターの下りた通りも現れるのが、

徘徊人としては何とも興味深いところ。

 

 

いくつかの商店街の入り口が交わるあたりで、

何とも肉肉しい香りが漂っていた。

その香りに惹かれるように進んでみると、

軒先の鉄板で大量のホルモンを焼いているお店があった。

 

さっきから食べてばかりだけど

(ちなみにこの日は朝から松のやでとんかつを食べ、朝マックチキンクリスプマフィンのコンビを食べている)

つい店の中へ。

愛想のいい若い女将さんが出迎えてくれた。

ホルモンと酎ハイを注文。

 

 

おそらく、ホルモンと聞いてイメージするものは

人によってまちまちだと思うけど、

こちらのホルモンは僕が幼いころから「ホルモン」と思っていたそのものだった。

 

大阪の叔父宅を訪ねると、必ず近所の店で「ホルモン」を買ってきては

食べさせてくれたのだけど、

さまざまな部位が焼かれているというか、煮込まれているというか、、、

これが大好物で仕方なかった。

 

その後社会人になってさまざまな地で「ホルモン」を食したが、

僕がイメージしたホルモンと出会うことはなかった。

ところが今、まさにイメージ通りの「ホルモン」が目の前にある。

 

 

無論、味付けは多少違いもあるだろうけど

一口食べただけで「これこれ、僕が永らく求めていたのはこれなのだ」

と、ついにやけてしまうのだった。

 

 

さて、よく歩いたし最後は風呂にしよう。

尼崎も案外銭湯が多い街なもので、ただただありがたい。

今回は阪神の尼崎駅へ戻る道中にある「三和温泉」さんにお邪魔した。

 

 

湯銭は何と400円。

自分は利用しないから深く考えてなかったけど、

後から調べればサウナ込みでこの値段であるらしい。

 

脱衣場は天井が高く、広い。

昔の居間にあったような照明が印象的。

液晶テレビでは阪神DeNA戦を放送しているが、

番台の親父さんは小さなテレビで別の番組をみているようで、

マツコ・デラックスさんの声が聞こえてくる。

 

浴室に入ると本当に「昭和」って感じがする。

身体を洗って浴槽に浸かれば、

やはり熱め、かつ深い。

 

適度にぬくもり、水風呂に浸かれば「あー、極楽や」以外の言葉が思いつかぬ。

 

いい気分で浴室を出れば、

パンツ一丁のおっちゃんがテレビを見上げており、

さらに僕を見て「阪神勝ってるわ」と言う。

僕もとりあえずパンツだけはいて、

しばらくおっちゃんと一緒にテレビを見上げていた。

背後からはマツコ・デラックスさんの笑い声が聞こえてくる。

 

 

身も心もスッキリして、僕は阪神電車に揺られて帰路についた。

きっと、この雰囲気が好きだろうな、と思う連れの顔が頭をよぎる。

近々再訪して昼間っからさんざん飲み倒してやろう(笑)