北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

JR山陽本線・須磨駅〜新長田駅徘徊

こないだ近所の歯医者さんに行って、

支払い済ませたところで窓口の女性(たぶん僕と同世代)が

「変なことお聴きしますが◯◯さん(僕の名字)のお父さんって鹿児島の方ですか」

という。

「ええ、そうですけど」と答えたら

甑島ですか」と続けた。

 

「???」とめっちゃ動揺しつつ「そうです」と答えたら、

「私、旧姓が◯◯なんです。親戚以外で初めてお会いしました」

と笑う。

 

こういっちゃ何であるが僕の名字(本名)はかなり珍しく、

かつ漢字は簡単であるのに大半の方は「読めない」。

小中学校の頃、僕はこの名字が嫌で嫌で仕方なく、

田中くんとか鈴木くんとかが羨ましくてしかたなかった。

 

しかしながら社会人になってからは、

この珍しい名字は「すぐに憶えてもらえる」というメリットがあることに気づいた。

さらに名字をきっかけに話が広がっていくのだ。

そんなもので今となっては気に入っている。

 

ただ、一度でいいから、家族親戚以外で同じ名字の方に出会ってみたい、

そんな思いはあった。

 

兵庫県だと尼崎や伊丹あたりに甑島出身の方が多くいて、

同じ名字の方も何人かいるという話は聞いたことがあったけど、

まさか明石でこんな話を聞くことになるとは。

 

それが旧姓とはいえ思わず形で叶うことになったのだ。

 

さらに数日後、僕は床屋に行った。

その店に行ったのは初めてで、最初に名前を書いた上でカルテ的なものを記入、

すると若い店主は

「僕、◯◯さんっていう名字の方に会ったのは人生で二度目です」

という。

小中の同級生に1人いたそうな。

 

うーむ、近々同じ名字の方と名刺交換でもできるのではなかろうか、

それができる日を密かに楽しみにしている。

 

 

 

四條畷行きの普通電車は須磨駅に着いた。

ホームの真横は砂浜で、夏場は多くの海水浴客でにぎわっていた。

海に近い駅というのは数あれど、

都市圏の主要駅でこれだけ海に近いというのは珍しいのではなかろうか、と思う。

 

 

JRの須磨駅国道2号線を挟んで山陽電車山陽須磨駅がある。

こういった点からも僕は長らく須磨区の中心はこのあたりかと思っていたが、

区役所があるのは山陽電車や地下鉄の板宿駅近くで、

人口が多いのは地下鉄名谷駅を中心としたエリアであるそうな。

 

 

国道2号線を西に向かうと、雰囲気のよさげな神社があった。

綱島天満宮とある。

 

 

境内に足を踏み入れると、

サーフボードを持った菅原道真公がいた。

「時勢の波に乗り、夢が叶うことを祈願します」とのこと。

さらに願いをかなえる「なすの腰掛け」

回して願う「思うつぼ」なんてのもある。

うーむ、何だか楽しいぞ。

 

 

綱島八幡宮を後に、JRの線路沿いに進む。

ほどなくして2008年に開業した須磨海浜公園駅

さらに進むと阪神高速神戸線の下をくぐる。

南へ目を向ければ事故多発地点として知られる若宮のカーブがみえる。

 

 

さらに進むと鷹取駅

外から見たのは初めてであるが、

機関車のオブジェらしきものは鷹取工場の名残のようなものなのか。

 

 

南側のロータリーはこじんまりしているが、

北側のロータリーにはバスターミナルもあるそうで、

最近すっかりハマっている湊山温泉がある平野地区を通るバスも

鷹取駅から出ているとのこと。

 

 

ちょうど小腹も空いたタイミング、

駅前にこじんまりした中華料理屋があったので入ってみた。

赤いのれんをくぐると、

左手に4人がけのテーブルが2脚、右手に6人がけのテーブルが2脚。

 

壁のメニューを眺め、ラーメンと半チャーハンのセットを注文。

ほどなくして奥から渋い面構えの親父さんがフライパンを煽る音が聴こえてきた。

先に半チャーハン、続けてラーメンが配された。

 

 

ラーメンの器とスープがしっかりと「熱い」。

これだけでも丁寧な仕事をしているなあ、と思う。

チャーハンは最後の一粒まで、

ラーメンは最後の一滴までしっかりいただいた。

お値段は何と650円。

またお邪魔します。

 

 

地図をよくよく眺めると、

鷹取駅自体は須磨区にあるが、

駅前のロータリーは長田区であるようだ。

さらに新長田方面を目指して歩く。

 

 

年末の買い物客で賑わう商店街を横断して丸五市場の様子を見に行ったら、

いつもより多くの店が開いている印象があった。

たまたま僕がこれまで行った日が定休日だったということだろうか。

 

 

今回の目的地は萬歳湯さん。

流行りの病に感染するまでは、献血をするのが目的で新長田を訪れていた。

その際、先に銭湯に行ってから献血へ、という流れであったのだけど、

11月に初めて萬歳湯さんを訪問した際、

ロビーにめちゃくちゃいい出汁の香りが漂っており、

よくよく見たらご主人が「おでん」の準備をしていたのである。

 

 

おでんを食べたら条件反射で酒を飲みたくなるし、

その時は献血の予約もしているしてぐっと我慢、

よし次回はおでんを食べるために行こう!と考えた矢先に病に感染、

今に至るという流れになっていた。

 

何はともあれひとっ風呂である。

萬歳湯さんの浴室は清潔そのもの。

左手の仕切壁沿いに浴槽が並び、

窓際に一直線に伸びる洗い場には既に椅子がセットされている。

大きくとられた天窓からは日差しがたっぷりと入り、

とにかく明るい。

 

僕は湯を堪能しつつ、

頭の中はおでんと、生ビールのことで一杯だった。

これを堪能するために、出発場所を新長田でも鷹取でもなく、

須磨を出発点としたのだ。

 

熱めの湯で身体の芯まで温め、

カランの水をかぶって脱衣場へ出た。

さっと服を着て、ロビーへ。

ちょうどロビーの片隅にある軽食コーナーのカウンター内で、

ご主人がおでんの鍋に何やら入れている。

 

僕はご主人に「おでんと生ビールください」と言った。

ご主人は「ゴメンなさい、おでん、まだ仕上がってなくて」と言った。

 

 

生ビールを飲みながら、おでんの仕込みを続けるご主人の様子を見つつ、

マスクをしているから何とも言えないけれど、

髪型とか体型とか目の雰囲気とかが、

うちの父ちゃんにそっくりだなあと思う。

見れば見るほど似ているような気がしてくる。

 

おでんを食べることはできなかったけれど、

これもまた再訪の理由になる。

 

さ、今年の「銭湯おさめ」もしたし、実家に帰るべ。

実家での年越しなんて何年ぶりだろうか。

 

で、赤穂の実家に帰ったら、ストーブの上の鍋に大量のおでんが煮えていた。

流石母親というのは息子の食べたいものが分かるようだ、と思ったが、

「おせちも作らんし、うちの正月はずっとおでん」とのこと。

 

 

そして、新長田の銭湯の主人が父ちゃんそっくりやった、という話を母にして、

ご主人が写ってたサイトの写真を見せたら

「ほんまによお似てるなあ」と笑った。