このたび富山の高岡に滞在する機会があって、
ホテルがまさに高岡の駅前で14階の部屋だったのだが
真下を行き交う電車を眺めていると、
「ああ、サンダーバードやトワイライトエクスプレスが走ってた時に泊まって見たかったなあ」
なんてことを思う。
南に目をやれば、
この高さから見てみると、
思った以上にすぐそこに新高岡駅がある、
そんな印象。
そして、この2つの駅の周辺整備で高岡市は財政難に陥っているという。
以下は日経の2月21日の記事。
高岡市議会議員の政務活動費の不正、
新高岡駅駐車場の新幹線客無料化の廃止、
新高岡停車の臨時かがやきは平日の運行取りやめ、
そしてコミュニティバスの廃止。
ニュースで見聞きする高岡の話題はロクなことがないが、
何とか復活してほしいものだなア、と、
元高岡市民として切に思っている。
午前中、暇があったもので今回は万葉線で徘徊。
新湊に行って、昼飯でも食べて帰ってこようと思う。
高岡駅電停のホームに入線してきたのは
「ドラえもんトラム」だった。
全然鉄道に興味なさげなビジネスマンの方まで、
「むむむ」といった感じでスマホのカメラを向けている。
ドラえもんトラムの運行時刻は決まっているようで、
狙って乗車している観光客の方もいるようだ。
車内はまさにドラえもん一色で、
中年男(僕のこと)が1人で乗るには何だか気恥ずかしい。
ただ、出発して間もなく、その気恥ずかしさは吹っ飛んで、
僕はただただ感心し続けることになった。
何に感心したかと言えば、運転士さんに。
今回の運転士さんは女性の方であったが、
とにかくマイク案内が的確というか、
上手い。
フリーきっぷの案内、近隣施設の案内、
降車ボタンが押されると
「高岡駅からご乗車の場合の運賃は大人の方150円、お子様80円になります」
なんて言葉がスラスラ出てくる。
「万葉線では新高岡駅から新幹線ご利用のお客様は100円でご乗車いただけます。当日の乗車券やスマートフォンの予約画面などをお見せください」
へえ、こんなこともやっているンだ。
「ただいま10円玉が大変不足しております。10円玉をお持ちのお客様はご協力いただけますようお願いします」
この放送が流れた瞬間に、車内にいたみんなが財布の中をチェックしていた(笑)
当初は東新湊で下車する予定だったけど、
結局終点の越ノ潟まで乗ってしまう。
フリーきっぷを提示すると
「たくさん乗ってきてくださいね」と笑った。
たぶん、こんな運転士さんにあたるだけで、
鉄道会社の印象なんてガラリと変わるもんでなかろうかと思う。
せっかく越ノ潟まで来たもので、
渡し船にも乗ってみることにする。
今でこそ越ノ潟の先は海であるが、
昭和41年までは陸続きで線路も富山市内までつながっていたそうだ。
富山新港の建設で線路も道路も分断されることになり、
その代替交通手段として就航したのがこの渡し船ということになる。
新湊大橋の開通で廃止もささやかれていたが、
減便しながらも運航されているのが嬉しい。
ただ、乗客は僕以外に1人乗っているだけでいささか寂しい。
乗船時間はわずか5分で対岸の堀岡に到着。
週末には射水市のコミュニティバスが新湊大橋の西側(越ノ潟駅近く)から、
この地(新港東口)を経由して富山ライトレールの岩瀬浜駅に達することができるが、
今回は新湊大橋の自転車歩行者道である「あいの風プロムナード」で
再び対岸の越ノ潟へと戻った。
越ノ潟からアイトラムに乗車。
レトロな車両に乗りたいなあ、と考えていたが、
そう考えると乗れないのはもはやいつものこと(笑)
東新湊で下車。
この駅の周辺は新湊大橋の西詰にあたり、
「新湊きときと市場」という巨大な観光施設もできて、
いつも賑わっているのだけど、
さらにその西側にある漁港を目指す。
目指す「きときと食堂」さんは新湊漁港の一画にある。
いわゆる観光エリアからは外れているし、
時間も11時だったもので空いているだろうと思っていたが、
何てことはない、狭い店内は既に多くのお客さんで賑わっていた。
カウンターの端に空席を見つけ、
1人忙しく働くおばちゃんの手があくのを待って、
「かけ中」と「魚屋のまかないづけ丼」を注文。
「かけ中」というのは何かと言えば、
うどんの出汁に中華麺が入っているもので、
姫路駅の「まねきの駅そば」をご存知の方ならイメージがし易いかな。
新湊ではいくつかのお店で提供されている。
新湊で「かけ中」を食したのは5年ぶりだか6年ぶり。
「天かすもかけてね」とおばちゃんが容器を渡してくれる。
「あー、これこれ」てな感じでしみじみうまし。
まかないづけ丼はまさに刺し身の切れっ端を「漬け」にしたものが、
小ぶりの丼を覆っている。
食べ方に悩む「海鮮丼」より、
僕なんかにはこんなスタイルの方がありがたい(笑)
こちらのお値段が500円、かけ中350円で合計850円なり。
いやはや、満足、ごちそうさまでした。
帰路は新湊の街を歩きながら、中新湊駅を目指す。
途中に「攻めてる」って感じのタバコ屋さんがあった。
poptripさんにならってまた禁煙しようかなーと思いつつ、
つい一服(笑)
禁煙外来で処方される「チャンピックス」って薬を服用すると
「吐き気」が辛くてねえ、、、、
だからといって気合でやめれるもんでもなくてねえ、、、、
地域の税収にも貢献しているわけでねえ、、、、
中新湊駅から乗ったのは再び「アイトラム」。
やはり「レトロ」な車両には縁がないようだ。
ちょっと早めに高岡に戻ってきたもので、坂下町で下車。
その名の通りの「坂の下」から坂道を上がっていくと、
高岡大仏が現れる。
僕が高岡に住んでいたのは20年以上前だけど、
このあたり、全然雰囲気が変わっていないなあ、と思う。
そのまま高岡駅を通り過ぎて、
かつて住んでいた駅南地区へ行ってみた。
かつてダイエーだった建物はその後、パチンコ屋になり、
そのパチンコ屋も閉店したようだ。
そのまま南下して通りを右折。
ほどなく現れたのは「バーンズ」という焼肉屋で、
20年前にもこの場所にあった。
この先を左折。
そうそう、この病院の隣の月極駐車場を借りていたんだよな、
なんてことを思い出す。
山小屋で働いていた僕が何故高岡で暮らすことになったのかといえば、
それまで山小屋とスキー場と通年雇用してもらっていたのだけど、
スキー場の勤務だけを辞めることになったことによる。
富山でアパートを借りても良かったのだけど、
ほとんど住まないのにもったいないなあ、と思っていたら、
高岡の常連さんが、「うちの実家に住むか、何年も住んでないからボロボロだけど」
と紹介してくれたのだった。
確かにボロボロの物件だったけど(笑)、
山小屋仲間が集まって楽しかった。
ただ、風貌が僕を含め怪しい方が多かったもので、
当時世間を震撼させていた某宗教団体のアジトではないかと近所の方に通報されて(涙)
大家さんにも迷惑をかけることになってしまった。
その家は、きっと建て替えられたのだろうけど、
何処だったのか全然分からない。
瑞龍寺まで行って、
あれ、手前だったっけ?先だったっけ?とウロウロしたけど、
やはりさっぱり分からない。
うーむ、記憶なんて曖昧なもんだなあ、と思っていたら、
タイムアップの時間か近付いていた。
僕は大慌てで高岡駅に向かった。