最近でこそ富山駅周辺にはいろんな飲食店がオープンしているけど、
「飲み屋」は多いけど「めしや」は多くないよなあ、
なんてことは未だに感じる点であったりする。
多くの「飲み屋」がランチをやっているもので、
昼食に困るなんてことはないのだけど、
カレーやら定食やら麺類があるような普通の食堂に行きたい、
と考えると、はて、どこにあるのだろうかとしばし悩んでしまう。
いろいろ調べてみると、
駅前というには少し距離があるけど
富山市役所の食堂はなかなか良さげな感じである。
さらにその向かいの意外な場所に食堂があることを知った。
電車に乗る必要性はまったくなかったのだけど、
電車かバスに乗って飯を食べに行く、というブログを書いているもので、
飲み屋が連なる一帯を歩く。
だいたい富山の方が「駅前で飲む」といえば、
桜町から新富町にかけてのエリアを指しているように思う。
しばし歩くと目指す「農協会館」の建物が見えてきた。
目指す食堂はこちらの地下にあるそうだ。
階段で地下に降りると小さな売店があり、
その先に何ともレトロな雰囲気に満ちた食堂というより
「洋食屋」と表現した方が良さげなお店があった。
看板には「おりーぶ」とあり、
店の前のボードには日替わり定食の内容が記してある。
思いのほか広い店内はスーツ姿の方で賑わいをみせており、
大半の方がこの日の日替わり定食である「煮込みハンバーグ」を食しているようだった。
僕も煮込みハンバーグに惹かれたけれど、
今日の気分は「カツカレー」だったのよな。
先週高岡で食べてから毎日「カツカレーを食べたい」と思っていた(笑)
ほどなく「カツカレー」が配された。
ボリュームのあるサラダが添えられているのが中年男にはありがたい。
カレーは食堂のカレーというより、
「洋食屋のカレー」という表現がぴったりくる。
個人的にはもう少しルーがほしいなあ、とは思ったけれど、
何よりこちらのお店、お米が美味しかった。
冷静に考えれば農協会館の食堂なんだから、
お米が美味しいのは当然のことなのかもしれない(笑)
そして店構えは明らかに洋食屋なのに、
うどんやそば、おにぎりといったようなメニューもある。
富山駅からも近い場所でいろいろ選べてゆっくり食事できて、
何とも使い勝手のよさげなお店といったところ。
ごちそうさまでした。
今日は銭湯にも入っていこうと思っているが、
富山の町中の銭湯は14時開湯というところが多く、
少し時間がある。
そんなもので高志の国文学館で開催中の
「北の命の物語展 倉本聰と点描画」を見に行くことにした。
観覧料は500円だったけど、
あいの風とやま鉄道のファンクラブ会員証を見せたら100円引きになった。
この会員証が初めて役に立った気がする(笑)
で、倉本聰さんである。
倉本さんといえば「北の国から」で知られる超有名な脚本家だ。
お恥ずかしい話であるが、
僕は若かりし頃、脚本家を目指していたことがあって、
倉本さんがやっている「富良野塾」も受験したことがあった。
僕は東京で行われた筆記試験と面接で落ちたのだけど、
その場で憧れの存在だった倉本さんに会えたもので、
すっかり舞い上がってしまったことをはっきりと覚えている。
そして倉本さんは面接の間中、ずっとタバコを吸っていて、
それが「LARK MILD」だった(はず)なのよな。
当時の僕は「LUCKY STRIKE」を愛飲していたけれど、
「LARK MILD」に変えたのだった(笑)
かれこれ半年以上吸っていないけれど、、、、
かくして倉本聰さんの点描画を鑑賞。
才能がある人は多才だよなあ、というのが第一の印象だったけど、
途中から絵が視界に入ってこなくなった。
と、いうのも絵に添えられた言葉がなかなか趣深いのだ。
例えばこの展覧会のチラシの絵には
「夜明けの森は 水の匂いがする」とある。
この言葉から、夜明け前の深い森と、どこからともなく聞こえてくるせせらぎ、
葉から垂れる夜露とか、いろんな光景が浮かんできて、
倉本さんの書いた絵の印象がさっぱりないのよな(笑)
ちなみに僕が倉本さんの作品で一番好きなのは
NHKでドラマ化された「玩具の神様」なる作品。
なかなかシナリオというものを目にする機会は少ないかもしれませんが、
倉本さんのシナリオは多くの図書館にもありますし、
よろしければ一度手にとっていただければ、
シナリオというものの奥深さを感じることができると思います。
「北の命の物語展 倉本聰と点描画」は3月4日の月曜日まで開催とのこと。
高志の国文学館を後にして丸の内から環状線の電車に乗車。
中町で下車して西町から南富山行きに乗り継いで、
西中野で下車。
西中野の電停の前にある「まるぜん精肉店」は惣菜が充実しているお肉屋さんで、
この日も多くのお客さんで賑わっていた。
ここのお惣菜、めちゃくちゃ酒が進むものが多いのが弱るところ(笑)
電車通りを背にして住宅街の中を歩くと、
目指す銭湯が現れた。
「古宮鉱泉」とある。
この周辺にはいくつか銭湯があるのだけど、
こちらにお邪魔するのは初めてだ。
時代の流れなのか、銭湯の番台は
脱衣場の外にある「フロント式」が多くなっているような気もするが、
「古宮鉱泉」さんは昔ながらの脱衣場の中にあるスタイル。
扉の先には昭和の光景が広がっていた。
この番台に座っていたおばあちゃんが、
この世にこれほど銭湯の番台が似合う方がいるのだろうか、
と思えるほどその空間に馴染んでいる。
420円を番台に置くと、
「ゆっくり入っていかれー」とニコッと笑う。
古宮鉱泉の湯は、最近富山で入った銭湯の中では格段に熱かった。
けど、入れない温度ではない。
しばし湯に浸かっていると、額から汗が滲み出してくる。
年を重ねると熱い湯も平気になってくるのかな。
今なら勝山や大野の銭湯にも入れるのではなかろうか、とも思う。
その時、常連らしき爺さんが湯船に浸かろうとして
「あつっ!」と声を上げ、
凄まじい勢いで蛇口から水を出し始めた。