JR南今庄駅にたどり着いたのが10時55分。
北陸線の線路が北陸トンネルへと入っていくのを見ながら、
ゆるやかな坂道を登っていく。
ちゃんとした2車線の道路に整備されていて、
廃線跡という感じはしない。
しばし進むと左手にホームのようなものが見えた。
まぎれもなくホームだった。
大桐駅跡の立派な看板が建っている。
さらに進むと大桐の集落があり、
作業員宿舎も立ち並ぶ大規模な工事が行われていた。
北陸新幹線だ。
当然ながら北陸新幹線もここをトンネルで抜けるのだ。
その工事現場をすぎると道幅も狭くなり、
にわかに廃線跡をたどっている感じがしてきた。
ずっと上り坂が続くが苦ではなかった。
落石よけがある。
その先から、SLが走ってきそうな、
そんな錯覚に襲われる。
やがて山中峠にたどりついた。
ここはスイッチバック式の信号所場所で、
待避線が敷かれていた築堤が残っている。
有効長を確保するためのトンネルもある。
全長1220メートルの山中トンネルへ。
一直線のゆるやかな下り坂。
トンネル内は水もしたたっている。
この幅、高さ、あきらかに道路としては 不自然だった。
本当に鉄道が走っていたのだ。
この壁に、 SLやDLの煙が染み込んでいるのだ。
小さなトンネルが次々と続く。
遠くに敦賀湾が見える。
列車の窓からこの光景を見たかったと思う。
ここはかつて杉津駅があったところだ。
時計を見るとちょうど12時で、 私は昼食をとることにした。
600円の唐揚げ定食を注文する。
想像をはるかに超えたクオリティの「唐揚げ」で、
私はむさぶるように数分で完食した。