今年の3月だったか、
高岡にあるミュゼふくおかカメラ館で開催されていた写真展を見に行って、
館内をほぼ一巡した最後の最後に掲げてあった作品を見て、
「?」となった。
ジェット機が飛んでて、堤防があって、手前の水たまりにその飛行機が映っている、
そんな構図の作品。
「?」となったのはその光景に見覚えがあったからだ。
「これ、うちの近所でなかろうか」
早速帰宅して確認したら、間違いなくここで撮ったと思われる場所があった。
道に穴があいていて、水たまりができている。
その先は神通川の堤防で、富山空港を離発着する飛行機がかなり低い位置を飛ぶ。
「さすが写真を撮る人は視点が違うなあ。よし、僕もここで同じような構図の写真を撮ってみよう」
とその時は思いつつも、なかなか実行できぬ間に時間ばかりが過ぎて、
そのうち、富山空港発着の航空便がすべて運休するという事態に見舞われてしまった。
で、しばらくそのことはすっかり忘れていたのだけど、
先日、久しぶりに富山空港に航空便が復活した、なんていうニュースを聞いて、
「あの写真に挑戦できるんではなかろうか、けど1往復なら厳しいかなあ」
なんてことをふと思い、例の写真が撮られたと思われる場所に行ってみた。
すると、路面の補修工事が行われたようで、
穴はきれいさっぱり埋められていた。
これじゃあもう水たまりなんてできないだろうし、
あの写真の構図に挑戦することだって不可能になった、といえる。
思い立ったらすぐ行動しなきゃ駄目なんだなあ、
と改めて思ったりした次第。
コロナも落ち着いてきたようであるし、
次は高岡に行こうと決めていた。
特に新しいお店を発掘するつもりは毛頭なく、
とにかく岩田家さんのカツカレーが食べたかったのだ。
岩田家さんでカツカレーを食べて、
内免湯で風呂に入ってくる、
それだけで良かった。
いつもはもっぱら「早めし」な僕であるけれど、
内免湯の開湯時刻が14時であるから、
逆算していつもより遅めの昼にしよう、
そんな計算をして電車に乗り込んだ。
この日の「あいの風とやま鉄道」の電車内では珍しく検札が行われていた。
若い車掌が淡々と検札を進めていく。
「定期券、ありがとうございます」
「乗車券、ありがとうございます」
「PASMO、ありがとうございます」
よく通る声だったので何となく聴いていて思ったのは、
「PASMOを持ってる方が結構いるんだなあ」ってことか。
ま、たまたまかもしれないけれど。
電車は高岡に到着。
この時点で12時44分。とにかく腹が減っていた。
頭の中は「カツカレー」一色である。
これだけ腹が減っているのだ、中華そばをつけてもいいのではなかろうか、
なんて気にもなってくる。
飲み屋街を抜け、高岡大仏を横目に、
僕は坂下町へと続く坂道を下っていった。
「カツカレー♪ カツカレー♪」と謎めいた曲まで口ずさんでしまう。
口の中によだれが溜まってくる。
ところが、、、、
うーむ、このご時世だし、何かあったのではなかろうか、
そんな不安がよぎったりもする。
ここで食べログをチェックしたらこの日は単に「定休日」だったようだ。
「・・・」
すっかり出鼻をくじかれた格好になってしまったが、
この時間から新たに店を探すのはなかなか厳しいものがあるような気がした。
そんなもので急遽近くの中華料理屋さんに入ってラーメンを食べた。
このラーメンが自分好みの一品だったのがただただ救い。
とりあえず腹は満たされたので銭湯を目指す。
この日の高岡は暑くもなく、肌寒くもなく、
すべてが「ちょうどいい」感じの気候。
適度に吹く風も含めて何もかもが心地よい。
以前の徘徊で見つけた廃業した銭湯は、
一層崩壊が進んでいる、そんな気がした。
何かあってからでは遅いと思うが
どうしようもないのだろうか。
金屋町に入ると、自転車に乗った若い兄ちゃん2人が
「このあたり随分雰囲気があるなあ」
みたいなことを言いながら僕の脇を通り過ぎていった。
見た感じ地元の高校生かと思っていたけど、
赴任したての社会人なのかもしれない。
内免湯に到着。
のれんがかかっている、そんな些細なことがとにかく嬉しい。
そんなもので入ってみたが、誰もいない。
外から薪を切るような音が響いているから、
何か作業でもしているのかもしれない。
そのうち女性側の扉が開いて
「奥さん、おいでない?」と言う女性と番台ごしに目が合う。
続いて年配の男性が入ってきて、
「誰もおらんのか」と言い、
「なら待っとくか」と脱衣場の椅子に座った。
すると響いていた音がやんで、
作業服姿の男性が「すみません、すみません」と頭を下げつつ入ってきた。
湯銭を払うと「ごゆっくりしていってくださいね」とにこやかに笑う。
長らく更新されていないけれど、
僕が富山の風呂めぐりをする上で大いに参考にしているサイトの管理人さんは、
内免湯についてこう記している。
県道高岡氷見線金屋交差点を内免方向へ、約200m先の左側にある銭湯です。 のれんをくぐったとたん「コンニチハー」の大きな声、シャイな私メでも思わず「コンニチハ」 とおうむがえし(笑)。これだけでまた来ようという気になりました。 浴場にはカラフルな熱帯魚のタイル画が、脱衣場には45㎝と60㎝水槽にクマノミ他の ホントの海水魚が。http://park7.wakwak.com/~shima/sentou1.htm
「これだけでまた来ようという気になりました」と記しているように、
僕も前回お邪魔した時にまったく同じことを思った次第。
適温の湯にじっくりつかり、脱衣場に出ると、
先程の男性の奥さんらしき方が番台にいた。
以前はお婆さんがいたから代替わりしたのかもしれないし、
以前はたまたまお婆さんがいただけ、なのかもしれない。
(記憶違いかもしれないけれど。。。)
うまく表現できないけれど、
内免湯に関わっている方々の人柄の良さは確実に伝わってくるものがあって、
「あー、また来たいなあ」と思ってしまう。
ま、今回は岩田家さんのカツカレーも食べそこねているのだ。
近々再訪しよう。
高岡駅に戻り、そういや今宵の焼酎切らしてたわ、
なんてことを思い出してクスリのアオキ目指して駅南へ。
かつてダイエーがあったこの場所は結局駐車場になるそうな。
ハコモノつくるよりは無難な選択だなあ、とは思う一方で、
以前も書いたかもしれぬが、この場に若い世代も住めるような賃貸住宅でもあれば、
「北陸には車が絶対に必要!」みたいな常識が覆されただろうに、
と思うとちょっと残念な気もする。
ザックに焼酎突っ込んで、富山に帰る。
いつも下校の高校生で恐ろしく混んでいる時間帯であるが、
この日は気の毒なほど空いていた。
学校も始まっているであろうに、
いったいどうしたことかと思う。
で、富山駅に着いた頃、
僕の喉はカラカラに乾いていた。
いつもなら風呂上がりに何かしら飲むのだけど、
今日はあえて飲まずに帰ってきたのには理由がある。
改札を抜けて、高架下の一画へ、、、
ビール一杯だけでも大丈夫ですか、
と表にいた店員さんに声を掛けてみたら
「大歓迎です」とのこと。
てなもんで早速注文ww
高架下、つうのは適度に薄暗く
昼酒を楽しむのにもっとも最適な場所だよなあ、
なんてことを思いつつ、ぐびりと飲む。
いやはや美味い、全身に染み渡っていく。
ここまで何も飲まずに帰ってきたのは正解だったと思う。
何より、
富山駅構内にこんな気楽にビールが飲める場所ができたことが
嬉しくて仕方ない。
またお邪魔します(笑)