北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

大阪メトロ谷町線・平野駅周辺徘徊

長らく標高2000メートル以上、夏もストーブ必要、みたいなところで生活していたもので、

外界に降りてきてそれなりの月日が流れたが、

相変わらず暑さに弱い。

平日はできるだけ早く出勤して職場で涼み、

夜もできるだけ職場で涼んでから帰宅するようにしているが、

週末はそうもいかぬ。

 

こんな時、湊山温泉の喫泉の存在はありがたい。

基本的な入湯料は750円であるが、

朝8時までに入れば550円、

これに喫泉の利用料金600円をプラスするだけで、

快適な空間で丸一日過ごすことができる。

当然温泉入り放題、

おまけに朝から生ビールも堪能することができる(笑)

 

 

先日も朝から喫泉にこもり、

明石の図書館で借りてきた「黒部源流山小屋ぐらし」なるエッセイを読んでいた。

 

僕が高校生の時にバイトしていた薬師沢小屋の、

近年の様子を描いたもので懐かしい部分もあり、

(というより僕がいた頃とほぼ変わっていない)

厨房や食堂、2階の大部屋、個室、トイレにヘリポート

屋根の上から見た景色、などを思い出しつつ

「薬師沢小屋と湊山温泉の喫泉って雰囲気が似ているのよなあ」

なんてことを思う。

隣に川が流れているという点も共通している。

 

当時の小屋番は食事の準備をしながら、

ラジカセで今井美樹さんのアルバム「Bewith」をよく聴いていた。

そんなものでスマホのアプリで検索して聴いてみたら、

まさに気分は薬師沢小屋、

一気に30年前に遡った気がした。

 

もう体力的に薬師沢小屋に行くなんてことは無理だろうけど、

湊山温泉で若かりし頃の気分を味わえるのなら、

それはそれで素晴らしいことではないか、そんな気がしなくもない。

 

 

 

その翌日も喫泉に行くつもりで電車に乗っていたが

流石に2日続けてはどうかなんて気にもなり、

けど暑いからあまりうろうろする気にもなれないよなあ、

とグーグルマップを眺めていたら、

大阪市平野区に「行きたい場所」として登録している地点があった。

はて、何があったかとクリックしてみたら

北陸銀行平野支店とある。

 

昨年、僕は長らくお世話になった北陸銀行の口座を解約することにしたのだけど、

当然のことながら北陸銀行に出向かなければならない。

そこで調べてみると、大阪には中央区、東成区、平野区にそれぞれ1店舗ずつ存在することがわかった。

「行きたい場所」の登録はその時にしたものであろう。

結局、解約の手続きは東成区の今里支店で行ったのだが、

北陸銀行の支店が存在する、大阪市平野区というのはどんなところなのか、

妙に気になってきた次第。

 

 

大阪メトロ谷町線八尾南行きの電車は平野駅に到着した。

地下鉄内は恐ろしくエアコンが効いていたが、

外に出ると午前中なのにまさに「炎天下」。

一気に汗が吹き出してくる。

 

 

通りに出ると、電線の地中化が進んでいるようで、

空が広く感じた。

長らく自分の中で大阪という町は

いい意味でも悪い意味でも「ごちゃごちゃしている」印象があったが、

最近はすっかり変わりつつある。

 

 

しばらく東へ向かうと北陸銀行平野支店が現れた。

かつては毎日のように目にしていた看板であるが、

久しぶりに見ると妙にテンションがあがる。

 

それにしても、北陸銀行の支店が中央区にあるのは何となく分かるけど、

あとの2店舗がなぜ東成区と平野区なのであろうか。

なにかつながりでもあるのかと

いろいろ検索してみたけれど、さっぱりわからない。

 

この交差点から北上。

どうやらこの先に商店街があるらしい。

 

 

アーケードのある商店街に出た。

写真だと「本通商店街」であるが、

正確には「平野中央本通商店街」であるそうな。

この看板が直る日は来るのだろうか。

 

 

アーケードの下は流石に涼しい。

こういった炎天下の日こそ、アーケードの良さが見直されるいい機会であるような気がするが、

まあ、エアコン完備の大型商業施設に行っちゃうわなあ、とも思う。

 

 

商店街に入ってすぐのところにお寺があった。

全興寺とある。

「ウソをつくと舌を抜くぞ」と恐ろしい看板が、、、、

どうやら通行手形を購入すると地獄堂を見学することができるらしい。

 

 

寺務所で通行手形100円を購入。

この手形、1回きりではなく、半永久的に使えるそうで、

「次回からはご自由にお参りください」とのこと。

要するに「地獄へのフリーパス」だな。

入り口でQRコードをかざすと地獄への扉が開いた。

 

 

正面にドラがあり、それを叩くと映像が流れ出す。

この映像が幼い子どもなら泣き出しちゃうんじゃなかろうか、

と思えるほどなかなか恐ろしい。

しかしながら最後は「こんな地獄に行かなくてすむように、自分の命を大切に」

といったメッセージで終わる。

 

 

地獄があればほとけの国も存在する。

薄暗い空間で水の滴る音に耳を傾けつつ、しばし瞑想。

この年になると「生死」についてといろいろ思うこともある。

 

 

全興寺を出てさらにアーケードを進む。

 

 

立派な商店街を抜けた先には、、、、

 

 

うーむ、いったい何が起こったのだろうか。

 

 

さらに進むと線路が描かれた遊歩道が現れた。

こちらは南海電鉄平野線の廃線跡であるそうな。

調べてみると1980年の廃止であるから、

記憶にはなけれど、僕が生まれた後もしばらくは存続していた、ということか。

 

 

うろうろしていると腹が減ってきた。

いくつか気になる食堂をピックアップしていたが、

まだ営業開始には程遠い時間である。

うーむ、どうするかと思ったら平野駅近くに喫茶店があり、

モーニングをやっている様子。

空腹には変えられぬと入店。

 

 

手作りのサンドイッチにゆで卵、サラダ、コーヒーついて500円だったか。

幸せというか、ただただありがたい限り。

 

隣のじーさんはコーヒーとサンドイッチ単品を注文して、

店員さんがモーニングにした方が安くなりますが、と声掛けしたのに

「ゆで卵もサラダもいらんのや!」

となんだかキレ気味であった。

自分はもう少し穏やかな老後を送りたいものである。

 

この後は銭湯は開くまで谷町線沿線をしばし徘徊。

 

 

平野駅に戻り、本日のひとっぷろを目指すことにした。

お邪魔したのは末広温泉さん。

 

 

表に

元祖西式「温冷浴」の店

「温冷浴」をせずして帰る人は

「高級レストラン」で食事して

「ライス」だけ食べて

あとは、残して帰るのと同じ

とながなか刺激的な一文が書かれていたが、

同様の文面が浴槽内にもあった。

これは当然温冷浴をせねばなるまい。

 

で、身体を洗って湯につかろうと思ったら、

恐ろしく熱くて全然入れない。

うーむ、湊山温泉の高温浴槽くらいあるのではなかろうか、

一般的な銭湯でここまで熱いのはここ最近は記憶にない。

 

しかしながら常連さんたちは目を閉じ、湯を堪能している。

その隣に「ぬるめ」と書いた浴槽があった。

こちらも「ぬるめ」とは程遠く、十分「熱い」レベルであったが、

入れないことはない。

しばし浸かってから水風呂へ。

うひゃ、こりゃたまらん。

続いてメインの浴槽にチャレンジ。

すると、入ることができた。

しかしながらヒリヒリするような熱さが全身を襲う。

その後は水風呂へ。

いやはや、やはりたまらん。

これは本当にクセになりそうだ。

 

何度か繰り返し、脱衣場で自分の身体を見たら、

真っ白な自分の肌は(ちなみに顔と腕は真っ黒であるが)

真っ赤に染まっていたし、

出てきた常連さんたちも皆同様であった。

 

そして建物を出てよくよく見たらこう記してあった。

「大阪一熱い風呂」

いやはや、おみそれしました。

 

 

恐ろしく熱い湯に入った後は、

まだまだ暑いまちなかも若干涼しく感じるから不思議なもの。

僕は駅近くのスーパーで缶ビールを買い求め、

ぐびりと飲み干してから帰路についた。